sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

BABY-Q+Nibroll presents V.I.I.M project 001 @ Super Deluxe

ko-moto2009-07-20

ネコロール


わたしたちは内なるネコ。一人では歩けない、ネコ。
居場所はひとつしかない。
 ウイリアム・バロウズ「内なるネコ」


演出・映像:高橋啓
音楽:スカンク(gt)、本澤賢士(sax)、菊池(dr)
振付:矢内原美邦
ダンス:ミウミウ
衣装:Nibroll about street

TIGER.TIGER


虎よ!夜の森かげで 赫々と燃えている虎よ!
死を知らざる者のいかなる手が、眼が、
お前の畏るべき均整を造りえたのであるか。
 ウィリアム・ブレイク「虎」


演出・映像:斉藤洋平 (rokapenis)
音楽:伊東篤宏 (OPTRON)+ガルペプシ
ダンス:ケンジル・ビエン (BABY-Q)
レーザー:Y&Y (YAMATO)
衣装:ぺーどろりーの

ネコロールが素晴らしかった。冒頭の矢内原さんのダンス、生身の人間と映像と影とのバランスに観ていてわくわくした。骨組みだけの椅子を矢内原さんが持ち上げたとき、間取り図に椅子が重なりそうになったところになぜか視線が釘付けになった。あとパンダの手ね。

とかがんばって書いてみたけど、ちょっと今日は自分のコンディションがめちゃくちゃ変なことになっていたらしくて、ネコロール観ている途中からとてつもない不安(かな?)に襲われてしまっていました。キツかった数々の思い出とか、自分の薄情さとか、去っていった人たち、死んじゃった人、自分から切り捨てちゃった人、それらの起こった時期とそれからの時間に何もしてこなかった自分とか、あれやこれやがぶわーっと噴出。そういうことってこれまでにもなくはないんだけど、こんなにも人のいる場所でここまでうわーって考えがとまらなくなってしまったことは初めてで、ひとりかなりの勢いで困惑。やばいやばいやばい、とずっと思ってました。いったい何が引き金となったのかは分からず。そんな混乱の中で、劇中のシンデレラをモチーフとしたパートで、出演されてるお二人が思いっきりの高音で「きゃーーーー!!!」と叫ぶシーンがあって。混乱の中で叫びだしたいような気持ちになっていたところにキレイにはまって驚いて、そして少し落ち着きました。そしてネコにやっぱり弱い。画面にネコが映し出されてまたちょっと落ち着いた。ラストのマグノリアなネコでまたちょっぴりざわざわ。

いやぁ、時間のたった今となっては、何がトリガになってあんなことになってしまったのかよく分からない。次の作品までの休憩時間もただ座って自分を落ち着かせるしかなかったです。あんまりそういうメンタル的にヤバい状態に陥ることって多くない、ましてや周囲に人がいるときになんて今回が初めてだったので、自分にただただ驚くばかりでした。


次の作品は残念ながら好みではなかったです。特にダンスとボイスパフォーマンスが。唾と一緒に口をくちゃくちゃさせる音と、舌を鳴らす音*1が苦手なんです。そればっか連発するパートとかあって、もうカンベン。こんなんだったら素直にOptrumのライブ観たかった*2
演劇・ダンスに限らず、こういう「新しいやり方」っぽい作品にちょっと辟易としてしまっているのかも。気付けばサブっぽい方面を好んでしまう方だと思っているんですが(ちと赤面)、そこまではいいや、って思っちゃうといいますか。事前にパンフレットのクレジットで、ダンサーの方のところに「渋さ」の文字を見つけてしまったのもあったかもしれません。つい最近読んだ鉄割の戌井さんの「まずいスープ」も、もう麻薬とかそういうのいいよ、って思ってしまいましたし*3。「ヤバい」「狂ってる」アピールにはもうお腹いっぱいです。終演後、周囲で語らってる方々は絶賛されていたしので、単に私の好みだとは思います。スタート時点の私のコンディションはひどいものだったし。でも今日の私にはこの作品、面白くなかった。


人気とか評価ってなんだろなーってことに思いを馳せた公演でした*4。自分の心には全く響かないものでも、それが好きって人はたくさんいて、イコールではないにしても、好きって人がどんどん増えればそれが高評価ってことなのかなーとか。ベースとなってる知識とか手法とかその世界での歴史とか、いろいろ評価基準ってのはあって、それでもってしっかりとした目で評価している人ももちろんいるけれど、でもやっぱり土台に「好き」って要素がなかったら、そういう理論的な話もないんじゃないかなー、とか。漠然とですが。

ああ、なんかまだちょっと調子おかしいな。作品そのものについてほとんど触れないまま、日記として残しておこうかと。

*1:アリケンの最後にタイトルのバックでなってるよな音

*2:赤犬ワンマン(対バンあり)以来でした、Oprtrum。

*3:鉄割が渋さとライブをやってたってだけでつい結びつけてしまう癖があります。でもあながち間違ってないと思う。

*4:ネコロールの最初の方でもそれについて思ってた