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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

ザ・キャラクター / NODA・MAP @ 東京芸術劇場中ホール

作・演出:野田秀樹
出演:宮沢りえ 古田新太 藤井隆 美波 池内博之 チョウソンハ 田中哲司 大西智子 野田秀樹 橋爪功

前半はコミカルなシーンが多くて結構笑わされました。古チンが何回も剣さんになっていたり。女装・野田さんとの夫婦芝居の軽妙さといったらないわー、ってにこにこしているうちに、ちょっとずつひっかかりが見えてきて気づいた時には観ているこちらまで飲みこまれてしまいそうになっていました。特に、後半に何回か出てくる前半に観た覚えのあるシーンやセリフの数々。前半で笑わされていたセリフだからこそ、後半に狂気をおびた形で放出される同じセリフ=言葉の恐ろしさが刺さりました。

パンフレットを開いたら、最初に「今の日本はあまりにも幼い」と太いキャプションで書いてありました。ラスト、あの事件に向かう弟が自ら書いたその背中の「幻」の文字が、マボロシという名の姉がすがるように突き刺すようにくらわせた一撃により書き足された一線により「幼」に変わったところでぞっとさせられ、されに追い打ちをかけるように家元の「ねぇスクール水着は?」。こわい。まいりました。

オバチャン役は大西智子さん。稽古中に骨折されて療養中の銀粉蝶さん→高橋恵子さん→大西さんとなっているようです。ただこの大西さん演じる「オバチャン」が「オバチャン」であるってことに気付いたのはだいぶ後半になってからでした。単純に大西さんはお若いので見た目がオバチャンにみえなくて。そして観終わってから思うと、最初っからオバチャンがオバチャンとして認識出来ていた場合とそうでない場合とではやはり若干作品のイメージが変わってしまう、そして最初からオバチャンと認識して観たかったなと思いました。
またこの役、映像の中に登場することが多いものだから、3人分映像が用意されているってことなんでしょう。短期間で代役*1をこなす女優さんご本人にも感嘆しますが、それによる変更箇所に対応する方々にも驚いてしまいます。プロ。
そんな映像担当は奥秀治さんだったのですね。そして振り付けは黒田育世さん。もがくようなんだけど主張の感じられる動きは見事でした。

*1:大西さんはアンサンブルの方々の中にお名前があったので、前から台本がある程度頭にあったのでしょうことを含めても