sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

それでもボクはやってない

まず最初に。興味深いという意味で*1面白かったのでみなさまぜひぜひ観て。

観たのはTOHOシネマズ川崎にて。いやぁ、TOHOシネマズってラゾーナのだよね☆と思って、開始5分前にラゾーナの映画館に行って、チケット発券機で「予約されていません」て出て初めて気づきました。「ここ、109シネマズ!」……トーキューとトーホーを間違えたよ!しかもTOHOって行った事ないからTELで確認したら駅からの道なのに的確な案内してもらえなくて、大体の場所を聞いてから、地下街の店員さんに確認してダッシュしました。今日の春のような陽気のなか猛ダッシュしたものだから、席に座ったときは息切れの汗だくだく。ああお隣がいなくてよかったよ……。なんとか予告編上映中にすべりこみました。「舞妓」の予告は観れませんでした。やってたらショック……。アンフェアの予告は観ましたが、ドラマを見てなかったのでよくわからず。サダヲは一瞬2カットほど映っていらっしゃいました。

えと、たたむほどのネタバレはしていないつもりですが、念のためたたんでおきます。


さて、本編なのですが、感情的な感想で言えば「公助、真山に何してくれてんの」という以前の役柄よびする始末だったんです。もうキイー!ってなったもの、観てて。ただもちろんそれだけではなくて、学生時代から今までやってきた仕事の様々な思い出がぐわーと呼び起こされまして。観終わったらぐったりでした。

小日向さん、どこかのインタビューで「ぼく、憎たらしいでしょう?」っておっしゃってるのを読みましたが、ホント憎たらしかったですね。寝てるっぽいあたりとか。でもああいう人(立場上)って何も裁判だけじゃなくって、通常業務で頻繁にいる。ワタクシ一人で開発した商品に関して、「開発者出して*2」とか「アンタじゃ話になんないから上の人出して」とかさー。キー!女をなめすぎだよ、おっちゃん!1年目のボクちゃんの声だけ借りて、後ろから言うこと操作したこと何回もあるよ、もー、キー!(いきなり思い出しギレ)
あとあの駅員室(でしたっけ)で追い返された女性の言っていたことが、全く逆のこととして法廷で証言される*3シーン。ワタクシの大学時代(理系でした)にああいう実験がありました。人間の感覚や感情の不確かさをデータとして集めて分析する実験だったんですが、その中のひとつに映画「12人の怒れる男」を使用したものがありまして。その実験の中で、あの映画を通して観た後に、それぞれの登場人物がどういう人間であったかを分析し、さらに各々の登場人物の発言を思い出せるだけ書き出す、という過程があったのです。これがねー、おもしろかった。グループ討論だったのですが、全員映画終盤のキャラクターイメージに沿った発言しか出てこなくて*4、さらにキャラクター1の言ったことがキャラクター2が言ったこととして全員意見が一致してしまったり。それも全てラスト近くのその人のイメージに合わせて、記憶がそっくり塗りかえられちゃってたんです。ごく自然に。今日の映画の中ではごく自然に「こう思っているからこう聞こえたんじゃないか?」と経験則というか推定にすぎない言い方をされていたんですけれども、この現象についてはあれからン年もたっているからきっと学術的にも研究がすすんでいる(あるいは証明されている)んじゃないんですかね。なんだかそのあたりで久しぶりに研究熱があがったりもしました。

ええと、個人的な思い出はおいておいて*5、お涙頂戴な人間ドラマの部分は徹底的に排除されていて*6、そのおかげでテーマに沿った一本筋のとおった作品になっていたように思います。ヘンに感動物にしようというあざとさはゼロ。だからこそ素直にふむーと色んな思いをめぐらせることができたのだと思います。だからといって表面的な出来事だけを追っているわけでもなかったですし。何もやっていないのにお母さんの前で手錠をかけられた自分を見せなくちゃならない悲しみなどは説明がないからこそずしんと響きました。こないだの岸田戯曲賞の選評をパクってみると、観ている側を信頼してくれているカンジ。

そしてウワサには聞いていましたが、正名さんが良かったです。正名さんにみる「こんな日本における良心」にみえるキャラクターが、その後のやるせない展開を相対的にさらにやるせなく見せていると思うんですが、ただそれだけのキャラクターだけではなくて。あのキャラクターには想いがぎっしりつまっているだろう、という印象を受けました。以前どなたかの記述で見た*7「正名撲蔵が出てくると必ずキーパーソン」というコメントを思い出しました。それから田中哲司氏。あなたはあれねー、心のうちにちょっと秘めちゃった役が本当にお似合い*8。スクリーンで観るとだいぶ恰幅がよかったですがどっちがホントかしら。太っていたのかしら。あとやっぱり大森なお氏はヤーな役やっても好きだ。

……てラストにでへへへなことを書いてしまいました。やーねーもー。

*1:笑える、ではなく

*2:ワタクシです

*3:女性は「やってない」と言ってたのに、「“やった”と言ってた」と証言される

*4:この映画、12人の陪審員がある事件について話し合うんですが、その過程で各自のキャラクターにどんどんぼろが出てきて、最初と最後のキャラクターが真逆だったりするのです

*5:横に物置く仕草でひとつ

*6:元彼女が出てきてもそのあたりはドラマとして描かれない

*7:どなたのブログだったか忘れてしまいました……失礼。

*8:とかいって、以前観たちゃらんぽらん作家の役もたまらんかったですけど。好きってことです、うふふ。