sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

少女とガソリン / 阿佐ヶ谷スパイダース @ ザ・スズナリ

作・演出:長塚圭史
出演:中村まこと / 松村武 / 池田鉄洋 / 中山祐一朗 / 伊達暁 / 長塚圭史 / 富岡晃一郎 / 大林勝 / 下宮里穂子 / 犬山イヌコ

ko-moto2007-06-17
さすが「暴走する男たちシリーズ」。というか、私がこれまで観た阿佐スパ公演の中で最も印象の強かった「はたらくおとこ」と同じシリーズなだけあって、「嗚呼、阿佐スパ」と噛み締めながら観ました。後味が悪くて、ベースに悪意が流れてしまっている、けれどもなぜか愛すべき男たちの姿、てカンジでした。

してないつもりだけどネタバレだとやなのでたたみます。



ここまで芸達者な役者さんをそろえているから、メインの会話と別のところでいろんな人がいろんなことやっていて視線が忙しい忙しい。贅沢な2時間半を過ごしました。堪能した〜。張り詰めた空気の中でのニャカヤマの飄々さ(やたら強いの笑っちゃった)に救われ、まことさんとイヌコさんのやりとりのところの人間臭さにはほっとしました。露悪にすぎず、こういうキャラクターやシーンをしっかり入れてくれるところがケイシー作品の好きなところかも。イケテツは怖いほうの狂言回しな役割だったのがちょっと残念。にこやかさの中に見え隠れする怖さが表面化していくような役柄にすればもっともっと狂気が引き立てられてぞくっとしたと思う……けどそれもワンパターンぽいかな。伊達ちんはまた(えへ)弱いチンピラ。あれ、チンピラ、ぽい役、かな。2日つづけて腕もげキャラを観てしまいました。今、小劇場では腕もげがアツい!
全員揃ってのアイドル曲の歌い踊りはそのへたっぴさ加減も含めてよかったなー。伊達ちん踊るんだ……。

ただ、見ている間はストーリーを追い、役者さんの細かい演技を追い、で非常に楽しんだのですが、これが「地域社会」や「その中でのヒエラルキー」を描いている作品として観ると、あまりに秀逸かつ悪趣味であったポツの「激情」があったり、閉鎖的排他的社会をねっとり描いた青年団サンプルの「シフト」があったりしたものだから、この作品ではそのあたりの描き方はあくまでもエンタテインメント性を重視したものになっていた(ヤな言い方をすれば「ウケ狙い」)ように感じました。まあ、この作品においてはそこを掘り下げたいという意識でつくられたものとは思わないですけれども。

あと会場については苦言。いえ、会場そのものと、その会場で作られた作品については文句ないです。けど、小さい会場に慣れていないスタッフは問題だと思いました。まずラストの演出について全く事前アナウンスがなくて。以前、桟敷童子が同じような演出やったときには事前に(詳しくは言わなかったけど)「お気をつけください」アナウンスはありました。さらにお友達が前もって教えてくれてたから対策していけてよかったけど、冷房がキツイ。だもので、終演後、紙ふぶき(あ、言っちゃった)を払う時間とカーディガンをしまう時間は少しくってしまったのです。けど、ぎゅうぎゅうのスズナリだったから、席はできるだけ早くあけてロビーでアンケート書こうと思ったら、人が溢れていて、スタッフは「物販やってます、アンケートはこちらです」のみ。外で書いてもいいよ、的アナウンスがあればいいんですが、それもなかったのでしょうがないので空いてきた座席に戻ってアンケートを書きはじめたらすぐ「場内清掃するから出てってください」。しょうがないので出たところで書いていたら「ドアしめるからどいてください(ほんとにこの口調で言われた)」。さらに「楽屋挨拶の方はこちらに来てくださいー」と真横で叫ばれて追い立てるように追い出されましたよ。なんだこれ。ぎゅうぎゅうのスズナリ、よく来てるけどこんな扱いされたの初めてだよ。会場が小さいから、とか言い訳にならないよひどいよ。……と思って「会場についてはスタッフの対応が悪いです。ここまで字が乱れるくらいの速度で書いているのに、間に合わないくらいに追い立てられて返されるのは初めてです。いかがなものでしょう。」って書いてきてしまいました。せっかくの(後味は悪いけど)よい作品を観ることができたんだから、気持ちよく帰らせて欲しかったわ。……つか阿佐スパはいつもちょっぴりそういうとこあったんですけどね。今日は顕著だった。

といいつつ、今回のチケットはお友達にとっていただいたもの。ああ愚痴っぽいこと書いちゃってすみません!観やすい席でよかったです。冷房アドバイスも本当にありがとうございました。ホントきつい位置だったのでアドバイスいただいてなかったら辛い思いをするところでした。>私信。
……てわけで、G列あたりは冷房キツイですので、今後そのあたりで観られる方は対策してくださいませ。