sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

セッション

「Buddy Richにあこがれるドラマーが鬼教師の猛特訓を受ける」映画だと聞いていたので*1、へなちょこドラマーだった主人公がラストにビッグバンドを率いてすごい演奏を見せてくれるタイプの映画かと期待したのですが、そんな正統派音楽映画ではなかったですね*2。音楽をモチーフとしたスポ根あるいは大映ドラマあるいは昼ドラでした。事前にある程度わかっていたので「そうかそうか、そういうことならば」とちょっぴりゲス寄りな楽しみ方ができました。しかしそれでも思っていたよりも重いコンダラだったし大映ドラマ的な、盛り上げによる盛り上げるための盛り上げシーン満載でしたなー。



姉ちゃんが父ちゃんで、父ちゃんが姉ちゃんで。


もうなんというかつるつるフレッチャーさんはテンポのことしかいいませんものね。ドラムってリズムの楽器だと思っていたワヨー*3。わたしのプアなヒアリング能力では「リズム」という言葉は聞き取れませんでした。主人公は高速専門のメトロノームになることを要求されている、というかもうこういう展開であれば「秘技!倍速テンポ!」みたいな魔球的飛び道具テクニックが飛び出して信じられない高速ドラムを繰り出してほしかったりもしました。



ファッキンテンポぐらいわかるよコノヤロー!


そんでこう倒れこむまで血ぃまき散らしながら演奏する姿、できない自分にキレてこぶしでスネアをぶち破る姿、いつ「カレーが辛い!」と暴れ出すかとハラハラいたしました。

紅に染まったこの俺を!


ストーリーはこういっちゃなんですけどやっぱり陳腐だなーと思います。あの事故とか。あの事故で映画としてはより盛り上がったとは思いますが、それだけのための事故にしか見えませんでしたし*4。喧伝されていたラストにもカタルシスは感じられませんでした。「まだはじまってもいねぇよ」なカンジ。そこまでの展開で、主人公はとにかくフレッチャーから認められたいだけのように見えたので、ラストの演奏をしたところでスカッと「してやったり」なシーンにはならなかったように思います。勝手に指示に背いて演奏したけどその行為や演奏をフレッチャーが認めたようには見えませんでした。はじめてはむかってやった、くらいで「To Be Continued…」とかいう懐かしいテロップが出てきても驚かないなーと思いました。
で、そんな「陳腐だなぁ」と思いながらも食い入るように画面を見つめて一切眠たくはならなかったのでそこは(映画の撮り方のテクニックとか知らないのですけど)きっと「魅せる」やり方はきっちりしていたのだろうな。


と、なんかもやもやと斜に構えてみてしまいましたが、トータルでは素直に「おもしろかったです」と思います。おともだちにはコメディ映画としておすすめします。



とりあえずつたないながらも自分の感想書き終わったから、盛り上がってた論争やらいろんな人のレビューやらやっと読んだり聴いたりできるー!ずっと我慢してたしもうひとつのお楽しみがこんなに用意されている映画も珍しいのでこれからめいっぱい楽しもうっと。

*1:なるさま&町山論争が勃発する前

*2:ということをなるさまに事前に知らされましたね

*3:わたしなりのゲスい観方

*4:そういうところが特に大映ドラマっぽい