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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

グランギニョル未来 @ ヨコハマ創造都市センター

ko-moto2014-08-29

原 案 :飴屋法水 × 椹木野衣
脚 本 :椹木野衣
演 出 :飴屋法水
出 演: 山川冬樹、笹久保伸、飴屋法水Phew、イルマ・オスノ、青木大輔、サム・フラー、ほか

音 響:zAk
照 明 :高田政義
舞 台 監 督 :垣本朋絵
演 出 助 手:C
衣 装 :コロスケ、ka na ta

ヴィジュアル・デザイン:ひらのりょう
撮 影:河合宏樹、森重太陽、近江浩之、瀬川功仁、梶山紘二(Pool Side Nagaya)
PR・広報・制作:山本裕子、李沙耶(山本現代)、コロスケ、C、金島隆弘、那波佳子

グランギニョル未来」は、1983年?86年まで飴屋法水が率いた「東京グランギニョル」(注)を21世紀に引き継ぐものとして、演出家の飴屋法水と批評家の椹木野衣により、新たに結成されたユニットです。

グランギニョル」という名称は、19世紀末から20世紀半ば頃までパリに存在していたグラン・ギニョール劇場(Le Theatre du Grand-Guignol)に由来します。そこで演じられていた内容が残酷劇や荒唐無稽な芝居として人気を博したことから、現代のホラーに通じる起源として、現在もしばしば用いられています。

グランギニョル未来」は当初、美術家でありカイカイキキギャラリー主宰である村上隆氏からの呼び掛けがもとになり発足したユニットで、その後、今回の共催であるヨコハマ創造都市センター(YCC)にて開催する運びとなりました。

グランギニョル未来』は、かつて起きた大規模な飛行機墜落事故を背景に、出演者の「あめや」「やまかわ」「ささくぼ」、また「いるま」などが、実名で登壇します。その対局に匿名で登場する「少年」と「少女」からなる「でくち/いりくち」の会話により、いわば現世と彼岸を往復しながら、劇はなにかの「終わり」へと向けて進行していきます。

http://ycc.yafjp.org/findasia/grand-guignol.html

……よくわからなかった、し、好みではなかったです。
わたしの理解力の問題が大きいとは思いますが、期待していただけに残念な気持ちでした。

帰り道、当日パンフレットに細かく書いてある椹木さんのテキストを眺めてたら、「やっぱりこれだけ理論的に文章で説明できてしまう人の作品は、頭には届いたとしても心には響かないのかもしれないな」と思いました。もっと言ってしまえば「批評家のやりそうなことだよ」と。隙がない。感情の入り込む隙もない。
「芸術的意図と背景を理解したうえであなたたち個人個人の経験や考えと照らし合わせてあなたたちなりのこの作品を受け止め方を模索してください」という「頭の良さ」を(脚本から観る側に)要求されている気がしました。
わたしの拙い知識では、「飛行機から国会議事堂が見えた」と富士山から国会議事堂に変換することによって昨今の情勢を反映し、「いくら出口を探しても地中深くもぐるばかりだ。空気があるのは入り口である。」と現状へのメッセージを絡めてうまいこと構成したってことなんだろうなという理解です。
そういえばわたし「うまいこと言った」みたいなの読んだり観たりしても(それだけじゃ)あんまりおもしろく感じないのでした。よくわかんないな、の中にそういう書き手の自負みたいなものを感じてしまったのかな。「うまいこと」だけじゃ響かないんだ。


その中でも好きだったシーン。

  • 山川さんの咆哮と骨伝導音&シンバルキックパフォーマンス
  • 写真撮影のシーン
  • ラスト、飴屋さんの、救助を思わせるパフォーマンス*1

それぞれは好きでしたが、どれも独立した個々のシーンとしては良かったけど、作品としてまじりあって高まっているようには、私には見えませんでした。関わっているのが好きな人たちが多かったから、もっと違う内容で観たかったな、というのが本音です。



運営について。
やっぱり当日券の人を優先的に入場させてはいけないと思います。
開場10分前に到着したらすでに長蛇の列で「さすがチケット即完の公演」と思っていたのですが、どうやら開場30分前から発売した当日券を購入した人をそのまま並ばせた後ろに、あとから来た前売り購入者を並ばせていたそうで。座席数が少なく早い者勝ちの公演だからなおさら前売り購入者を先に入場させなくちゃだと思います。

*1:『マームと誰かさん』で目の前に何度も転がってきた飴屋さんと林檎の香りを思い出したりもしていました