sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

最悪 / 奥田英朗

最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

なんか軽く楽しく読める本ないかなーとおともだちに聞いて薦められた奥田英朗。なのになぜわたしはこのタイトルの本を手に取ったのかしらね、と思うくらい、その現実味のある追い詰め描写にどんよりしちゃいました。
つらい。ご近所つらい(え、そこ?)(や、最近うちのご近所に生活音に文句を言う住人が出現してまして)


群像劇。ラストの解説でも書かれているように、ひとつの場面を複数の立場から描いてる、ちょっと映画的な作品。一度映像化もされているんですってね。知らなかったです*1

3人の主要人物がそれぞれの「最悪」の果てに出会ってからの疾走感がすばらしかった!ぐいぐいと読んじゃった。電車の中だけの読書と決めているもんだから、電車に乗ると同時に本を取り出す数日でした。

「日本はどんなに逃げたって2日くらいで海につきあたっちゃう。大陸だったらいいのにね」「幸せって現状の2割増し程度だとおもう」というのが印象的でした。



この本読んでる最中にZAZENを観て、向井シュートクによるおもしろおかしかっちょいい「ずぼっとハマった泥沼」を聴かせてもらったのでした。テーマソング。途中はタイトルどおり「最悪」な鬱々とした気分になるシーンが多いので、テーマソングはこれくらいご陽気になれるのがよいねー。

*1:解説によるといまいちな映像化だったらしい