sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

顔よ / ポツドール @ 本多劇場

ko-moto2008-04-13

作・演出:三浦大輔

出演:
米村亮太朗 古澤裕介(ゴキブリコンビナート) 井上幸太郎 脇坂圭一郎 岩瀬亮 横山宗和 後藤剛範(害獣芝居) 白神美央 内田慈 松村翔子(チェルフィッチュ) 片倉わき 新田めぐみ 安藤聖

自分の顔を60点以下だと思ってる人間はいないんじゃないだろうか。
まあ、そう思わないとやってられない。
でも、実際、60点以下の人間はいる。確実にいる。
30点の人間。いる。ごろごろいる。
「俺は自分の顔のことちゃんと自覚してるからさ」
そう言っている人は、絶対、フォローの言葉を待っている。
「そんなことないよ」
その一言が聞ければ、自己評価は跳ね上がる。
ほんとは30点なのに。

僕も60点気取りで生きてます。
と言っといて、「もっと、上なんじゃない?」と言われるのを待ってます。
すみません。どうぞ。よろしく。      ポツドール主宰 三浦大輔

みないようにみないように、と「ポツ」の文字があると読むのを避けてきたこの1週間。それでもどうやらえらいこと評判がいいらしいということは分かっていて期待MAXで挑んでしまった。
にもかかわらず、迷わずいえる「面白かった!」
これ傑作なんじゃないのかしら。


千秋楽公演を観ました。チラシのビジュアル怖すぎだよね……。

開演前のエントリで感慨にふけっていたのなんて甘かった。開演予定時刻をすぎてからも入ってくる人、人、人。上手側通路に座布団席の方々が座り始めたのに驚いていたら、ほどなくして下手側通路にもぎっしり。パイプ椅子ならまだしもこんなに座布団席使ってる公演って、え?これなんて大人計画?と思っていたら、さらに前方ブロック最上手、最下手である壁際に立ち見客がそれぞれ10名ほど。大人計画もびっくりの完全満員御礼。おっどろいた。
下手側座布団席の方々が入ってくるくらいの時間に、前から2列目下手よりにはいってきたお客さん、あれ、三浦さんだったよねぇ?その後にぞくぞく入ってくるお客さんを後ろを向いてちらちら観ていらして、なんだか妙な感慨を覚えていた私はその三浦さんをちらちら観て「すごいね、すごいよね、すごいじゃん!」って語りかけたい気持ちに。
岡村ちゃんのSEXがLust Versionになったところで「さあくるぞ」とつい身を乗り出すも、真後ろの女子たちが音量の変化に気づかず大声でお話していて「はじまっちゃうよ?」ってとめたかったけど間に合わず、いきなり音楽ストップした瞬間に彼女の声がちょっぴり響いたりもしていちゃってた。
しっかしこのオープニングは何回観ても気持ちいい。


休憩なしの2時間40分くらい?
舞台装置が毎度毎度精巧かつ合理的でした。
隣り合った二階建ての建物。
「恋の渦」を観た方は想像しやすい部屋の配置。上下4部屋で舞台は展開していきます。もうこれはポツ作品の特徴といってさしつかえないだろうと思われる同時多発会話は今回も炸裂。今回はよりそれを深化させて、それぞれの部屋で行われている会話同士がシンクロしたりして、お互いの部屋で言っていることがぴったりはまって同時に終わったりしていました。うわー、耳が忙しいくせに妙に気持ちいい。面白い。
そして「夢の城」を思い出させるような、しょっぱなの手前の窓(と壁)の提示。「夢の城」と違ったのは今回は章がすすむにつれて、一部屋ずつ手前の窓と壁が取り払われていったこと*1。ついつい手前が閉じられている部屋の内部を覗こうとしているらしく、ちょっと動きがあっただけでその部屋を凝視してしまうものですね。着エロ精神ですね(違)。チラリズムの美学ですね(だから)。

全体的には、上に書いたように、舞台装置も会話もエロや暴力の持ち込み方も、これまでのポツドールの手法を使って、それらをさらにこねてこねて外に出してきてくれたようでした。

  • ミッフィーちゃんの顛末は。最後のセリフはアレだ。心理テストというか、犯罪者が聞かれたら必ずこう答えるから、犯罪者でもないあなたが答えられたら要注意!ていう質問を思い出しました。どなたかが小説でも書いてたらしいんですけど。「Aさんの夫Bさんが亡くなりました。Bさんの弟Cさんが友達Dくんと一緒にお葬式にやってきました。そこでAさんはDくんに一目ぼれをしてしまいました。だからAさんはCさんを殺しました。なぜでしょう?」というヤツ。想像力をフル稼働させた私は見事に正解してしまい、自分に犯罪者の素養があると言われてしまったと結構落ち込んだ(つかまだコレ書くのに勇気がいる程度には傷ついた)質問。
  • あの「直る」と知ったときの正直さは「マンハッタンラブストーリー」の「妊娠してないと知ったとたんに焼肉を注文しすぎる男」を思い出しました。
  • 会話ばかりですすんできた後で、あの雨の音しかしないシーンが美しすぎてずるかった。



内容については上に知らないうちにちょぼちょぼ付け足していく予定。



これだけは書かずにいられないのはやっぱりラストのあれ。
夢オチだとか妄想だとか言われちゃったりするんだろうとは思うんですけど、
「ほぅら、あなたたちだって顔で判断して観てたでしょう?」
って鮮やかなまでに切り込まれたように感じてうわっとなった。
だってさ、アレの顔の美醜が反対だったらどうなのよ。みんな「妄想オチ」なんて言う??
くっそう、こいつ……、マジでやられた!って思った。憎たらしいけど(から)大好きだ。


確か、「女のみち」を観にいったときにもらったフリーマガジン「プチクリ」で「顔の美醜をテーマにした作品を」と初めて目にした覚えがあります。「女のみち」は2006年7月。待ちに待ってやっとみせてもらった作品はラストに鮮やかなパンチをくらって、それがやたら気持ちのいいものでした。毎回毎回こうやってもやもやしながらも「次もぜったい観る」と思わせてくれて嬉しいです。また岡村ちゃん聴きにくるぜ。



各章のタイトルをメモ。第一章だけ違うかもしれないけど*2、あとはあってるはず。

第一章 傷
第二章 醜
第三章 性
第四章 血
第五章 美
第六章 業
最終章 顔よ

三浦さんインタビュー。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20080402et07.htm





あ、そういや帰り際にいっぷく所で太一氏とお隣に。……。こういう作品を観たばっかりだし、「そ、そういうわけじゃないのよ、おばちゃん、こんなナリだけど、あぶなくないの、ないのよぉおぉぉー」と心の中で叫びました。なんか。いつもいる。気持ち悪いひとと。思われそうで。自意識過剰。でもなんかみられてたような気がする……。や、自意識過剰。うん、自意識過剰。考えてみりゃミッフィーちゃん出てるんだから観に来ますよね。今日もまた微妙な服装をしてらしたけど、髪形はもしゃもしゃしていて「よくなった!よくなったよ!」と思いました。……すみません。

つかこのエントリ、まとまりなさすぎてひどい。ごめんなさい!

*1:「夢の城」は二章が始まるタイミングで全部とっぱらわれた。あれ、「恋の渦」もこの形式でしたっけ??

*2:違ってた。→傷。直しました。