sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

女のみち / ポツドール @ THEATER/TOPS

女流AV監督、溝口真希子さんの作・演出による、「女性版ポツドール」と銘打たれた番外公演(ポツドール vol.14.5)。
ポツドールのごりごりの嫌らしさを期待していくと全くの別物です。なんて暖かいの!というのが率直な感想です。この芝居を観て。暖かいと。毒されております。

脚本・演出 : 溝口真希子
出演 : 安藤玉恵 岩本えり 内田慈 玄覺悠子 佐山和泉(東京死錠)/米村亮太朗 ほか

公演中なのでいちおうたたみます。


AVの撮影現場に集まるAV女優たちの会話劇でした。キャラクター設定は、ベテラン女優(安藤玉恵)、ベテラン過ぎて使ってもらいにくい女優(佐山和泉)、かわいらしいギャルっぽい女優(岩本えり)、超かわいくてぶりっこで売り出し中の初心者女優(内田慈)、シングルマザーで風俗とかけもちしている女優(玄覺悠子)。
個人個人のキャラがしっかりしていて、さらにその場にいない人の話題が基本、悪口になるあたりが「ああ女同士」。でも先入観よりはその悪口に愛情や笑いが付加されていて、本気で「あぁ〜、ぃや〜だなぁぁぁあ〜*1」とはならなかったです。口が軽くて周りに合わせてばかりの岩本さん演じるキャラクターみたいなコが一番困るな、と。それから内田さん演ずる売出し中のぶりっ子女優も興味深かったです*2。見た目がかわいいカマトトキャラのこのコが撮影しているときに入るツッコミ「緩急ないよね」「いけっ」とか。いじめられた経験を辛かったと語るけれどもその語り口がむちゃくちゃずうずうしかったり、周りにお世辞を言って媚を売りまくっている割に、ゴミはかたずけず、自分の衣装を床に散乱させたままで帰ったり。おもしろいわぁ、こわいわぁ(自分を省みるよ)。
上にも書きましたが、全体的に「ポツドール」という名前からすると暖かかったのです。これはたぶん、三浦さんは写実的に、そのような場面で起こりえる登場人物の情景をやや俯瞰で見ているのに対し、溝口さんはまず各女性のキャラクターありきで、彼女たちのセリフとストーリーがあるところに見せ方(演出)が乗っかったんだろう、と思います。アフタートークでも(ぐだぐだでしたが)キャラクターとストーリー*3のお話をされていた印象です。険悪な雰囲気も、嫌らしいキャラクター設定もそこまで突き抜けずに基本的にはいい人ばかりでしたよ。後味さわやかポツ。ぎや〜。あとは、最後に撮影用の衣装から私服に着替えるときのキャラクターに見合った衣装が素晴らしかったです。全然違うタイプの服を着たコに「その下着かわいくね?」とかいいつつ、一緒の電車で帰りたくないためにちょっと時間をずらすのとか。あははははぁ〜、やるかも……(自分もたいがいひどい)。

それから会場時の岡村ちゃんの音量が控えめだったのと*4、なんといっても終わり方が。カーテン下りてこず、安藤さんによるカーテンコールがありましたよ。わー。ポツで初めて拍手しました。いつもの大音量岡村ちゃんがばつっと切れて始まるのと、瞬時に幕が下りるのが気持ち悪くて大好きなのですが、これはこれで「ほー」と。安藤さん、アフタートークにでてくるなり「カーテンコールが一番緊張する」とおっしゃってました。三浦さんも「やってたねぇ〜」って突っ込んでたし。「いいもんだね〜」とも言ってた。でも本公演はいままでみたいにしてね。

本日はアフタートークつき。溝口さん、三浦さん、安藤さん、ゲストのバクシーシ山下さん。だ、だれかっ、仕切って!というぐだぐだっぷり。三浦さんが参加されるとは知らなかったので嬉しい嬉しい、うさんくさぁーい*5。三浦さんも本日初めてこの舞台を観たそうで。ポツドールの名前はあるけど全く別物じゃの、と思いながら観ていたのでしごくナットクです。そしてバクシーシさんとともに本日の感想を語ってみたりするものの、おーい、中身がないよ?てな状態でした。観客とのQ&Aもあったのですが、三浦さんへの質問に終始してしまって、でも自分もそれは聞いてみたいという質問だったりして、でもなんか溝口さんに聞かなくていいのん?と思ったりして。なんか変な気疲れしました。
性描写が過激であることがやはり皆様印象的なようで、それに関する質問でした。なるほどね、と思ったのは、三浦さんが「ボクは……あ、わかった、あんまりセックス自体に興味はないんですよね。そこに至るまでの過程が面白いというか」とおっしゃっていたところ。なるほどねー!よく性描写が取り上げられるけど、三浦さんの性描写ってそのものは全然エロくないもんね。テロップあてるなら「性欲処理」だもんね。そういうことか。

会場でゲットしたフリーペーパー「プチクリ」。今回はポツドール特集とのことで。インタビューを読んでいたら、三浦さんが次回作について「顔の美醜をテーマにしたい。逃れられないことなのにちゃんと描かれていないから僕がやらないと」と発言されてました。やっだぁ、すごく観たい。

*1:いつものポツではこうなる

*2:関係ないですが、彼女と「内田滋」さんはまざりますよね。「まとまった〜」に彼女が出るんだとしばらく思っていましたもの。

*3:と、今回、舞台としての役者と接したときの面白話

*4:でも岡村ちゃん「Sex」複数バージョンかけまくり&シングルバージョンの音量がクレッシェンドしていって開始、の流れは変わってなかったですよ

*5:ひどい。好きゆえ。垢抜けたなぁ、と毎回思うのよ