sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

TOKYO!


ミシェル・ゴンドリーレオス・カラックスポン・ジュノの3監督が東京を舞台に撮影した作品。この順番で上映。

とにかくレオス・カラックスの作品がズバぬけてたまらんかった。「糞=fuckやらshitやらの意味合い」であるところの「メルド」がタイトル。その名もメルドという通り魔的に奇行を繰り返す男が出てきます。冒頭、五反田のマンホールから現れて、銀座の街を闊歩する長回しシーンからして心をわしづかみ。花を食い、紙幣を食い、女性の脇の下をなめる。黄緑色のくたくたのスーツ。やせて浅黒くてけむくじゃら、片目はつぶれていて、ふらふらとおぼつかない足元なのにものすごいスピードで銀座を駆け抜けて、鮮やかにマンホールをあけて帰っていく。その歩き方はダンスのよう。ザ☆身体。不規則から生まれるグルーヴとスピード感。うぎゃー、このシーンだけで終わっても満足。本気でこれだけでひとつの作品になると思う。だって今すぐこのシーンだけ観たいもの。

日本のニュース番組で彼を扱うあたりがまたどっからこの日本にありがちな展開を知ったの?てな内容。渋谷で大量に人を殺したメルドをかばうようなデモが発生し、メルドのフィギュアが作成され、メルドの話す「世界で3人しか通じない」言葉を真似する集団が映し出される。このニュース番組のタイトルが「雲」。なのに番組タイトルバックの絵が蜘蛛の絵だったりするの。
メルドのもぐる地下の世界が、中学のころに読んだ「ああ無情」でジャンヴァルジャンがもぐる地下道のイメージに近くて驚く。挿絵かなんかでみたのかなぁ、あの地下道、こうゆうイメージだった。
ラストもよかった。捕まえたと思ったのにすり抜けていってしまう、日頃みないようにしているけどそこに確かにある醜いもの……という捕らえ方をすると急に教訓めいてしまうんだけど、メルドの姿にそんなあやふやで危ういものを感じてずどんときた。歯をコツコツ頬をビタンしながら。

地下のシーンになってから、「あれ、これまさか」とようやく気づいたけど、メルドをやってたのはドニ・ラヴァンだったのね。レオス・カラックスといえばドニ・ラヴァンなわけですけど最初気づかなかったので、映画観ながら「あの人?あの人?」と確認作業に入ってしまいました。時は流れているね。
それから顔彦先輩をどうしてあんな絶妙な使い方をしたのか聞いてみたい。顔彦せんぱいのこと分かりすぎてやいませんか。置物のように一言も発することない顔彦せんぱい。う〜ん、正解!てうなりました。

ミシェル・ゴンドリーの作品は、まったりほっこりゆるゆるですか?と思っていたら途中でとんでもない展開をみせちゃって嬉しかった。この展開あとがそれまでよりも数倍面白かった。救われる自分探し。どの俳優さんもイメージぴったりでよかったな。大森なおであればイヤンな展開にはなるまいよ、というヘンな安心感にも驚きました。あの赤いコートがかわいいかわいいと思っていたら、エンドロールにフィロソフィーの名前を発見。多分あそこのでしょ。

ポン・ジュノ作品。香川さんと蒼ちゃんが大好きなので、お二人のかわいさにもだえながら観たけど、作品としては好みではなく。ラストの甘い展開が陳腐にみえてしまったのが作品の印象を決めてしまった。外にでようとするシーン、結局1日経っちゃったのは好き。


予告で「ボクのミライへ逆回転」(原題「Be Kind Rewind」)がかかって観たくてたまらんくなる。飛行機でがんばってみた部分の映像が予告になっていたので、そこでようやく作品の設定が分かったよ。なるほど、それであの映画のああいうシーンだったのか。


上映開始までずっとかかってた音楽が心地よい、好き!と思ってたらHASYMOだったのね。聴こう。