sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

風来坊雷神屋敷 / 劇団桟敷童子 @ 北区・飛鳥山公園内特設天幕劇場

前回スズナリでの公演「博多湾岸台風小僧」にやられたので初日である今日、午前中に思い立っていってまいりました。今回は本来の姿であるらしいテントでの公演。
駅から公園への入り口がちょっと分かりにくかった*1けど、入り口から会場までは親切な看板が出ていたので迷わず到着。まぁ、上のエントリで書いたとおり、夜公演しかないからやや暗い中、提灯っぽいわずかな光をたよりに幟のたつ石の階段を上るのはちょっと怖かったです。人通りもあんまりないし、雨が降り出しそうな夕方で静かでねー。とても駅から5分も歩いてないとは思えない光景でした。
18:00から整理券配布(入場券を購入してても、事前に入場のための整理番号が記載されたカードをもらう手続きが必要なのです)、18:30から入場。18:00くらいから降り始めた雨の中、満員御礼状態。前回と同じく化粧もばっちり、衣装もばっちりな出演者さんが入場整理とかしてました。
当日取っただけあって、最後の集団として入場したらなんと最前列センター。私が入った後も「すみませんみなさん、あと1cmずつこちらにずれてください、せーの、よいしょー!」と席詰めが行われたので、外で並んでる間に何回もこの作業が行われてたんでしょうね。

さて、あらすじは公式より転載。

時は戦国時代。長く続く戦に加え、雷神峡では雨が降ると川が氾濫し、その濁流は家屋敷を呑み込む。
人々は、かかる不幸は全て雷神峡龍神様の怒りによるものと、毎年生贄が捧げられる。
生贄には、阿呆丸と呼ばれる生贄のために育てられた娘をあてがうか、 阿呆丸が来なければ、
邑の若い生娘をあてがわなければならない。
今年の生贄は雷神峡日陰谷邑の長・ 重蔵の娘、志乃の番だ。
生贄の儀式を目前に、志乃は恋仲の千代丸と伴に邑から逃げだそうとするが、 追ってきた邑の人々に捕まってしまう。
生贄が出せない邑は龍神の怒りを買うとともに、近隣の邑々から私刑を受けるのだ。
掟を犯した千代丸と志乃を制裁しようとしたその時、フラリと現れた男、興櫓木が二人を助ける。
そして興櫓木は、龍神を退治すると言い出した・・・。


んでコピーがこれ。

戦、戦ノ雨アラレ…人狂エバ、神狂ウ

狂ッタ神ニ生贄ヲ…生贄拒メバ神怒ル…

…神怒レバ、人狂ウ…戦、戦ノ雨アラレ

風来坊ガヤッテ来タ…神ヲ退治ニヤッテ来タ

ソノ男…寝惚ケ眼ノ、寝ボスケ野郎…

アレアレ、アララ、アレ、アララ…

呆レテ、阿呆モ笑ッテル

以下、多分にネタバレありますんでたたみます。初日だし。

んが、これだけは。
クセがあるので両手を上げてオススメ!とは言いにくいんですが、興味のある方、特に前回公演が良かった方は観に行った方がいいよ!

それでは。


最前列に座った私たちには水よけのビニールシートが横に渡されました。前をみると舞台の下には膝下くらいまでつかりそうな水が。さらに「今からテントの中にも雨が降ります」とシャワーの水が。あららら。でも以外と人間にはかかりません。途中で水が激しくなったり、役者さんが水を放ったりもするんですけど気にはなりませんでした。

あらすじおよびコピー(といっていいものか)はとっつきにくそうなんですが、前回の公演同様、始まってしまうとぐっと惹きこまれてしまいました。後で思うと、本当に人間の立ち位置や言っていること、キャラクターもすごく単純だしヘタすると同じことを繰り返しやっているだけなんです。「赤いシリーズ」で百恵と友和が延々と「好きなんだ」「でも一緒にいるわけにはいかない」「やっぱり好きなんだ!」を繰り返しているように。それが「生贄として死ぬわ」「そんなのおかしい、生贄が必要だなんて神がおかしい、神を殺す!」「あぁでも災いが!」てなループにかわっただけなのだー!後から思えばね。でもなんだかすっかりひきこまれてしまうんです。なんなんでしょう、あの魔力。

「赦し」がテーマだったんでしょうか。「水に流す」と表現されていたアレです。「死ぬために生かされている人間なんていない」「水に流す(=赦し)」ことをシーンや言葉を変えながら訴えられたように思います。
最初重苦しかった空気を一気になごませてくれた阿呆丸の無邪気さが、無邪気さゆえにその生い立ちを知ると悲しくてですね。特に一人で村に戻って、一人で生贄の儀式を行おうとしたところなんてどうしようかと思った。「死ぬために生きている」と自分のことを認識している阿呆丸が自分一人でも儀式を行おう(=死のう)とする直前に、前回の儀式で自分の娘を失った母に向かって、「私が死ぬんだからあなたたちは生きるんだ。生きていることが大事、目的を持つんだ、目的を持てば生きていくことができる」(うろ覚えですが)てなことを説くんですよね。それを悲痛でなく何度も。

舞台後ろが取り払われて、公園のライトと木々をバックに出演者が駆け上ってくる登場シーンがものすごくよかったですね。「……シアターコクーン?」なんちて思ったりもしましたが、景色や遠近感からして演出効果は絶大でした。
最後はこれに加えて天井までも取り払われましたけど、インパクトとしては最初のがすごかった。最後は「おぉ、これがウワサの大仕掛け!」と思っちゃいましたしね。舞台上でも水飛沫、上からはホンモノの雨、てな状態になりましたけど、まあそれも一瞬のこと。かえって参加させてもらっちゃってる感があって楽しかったです。

んー、まだうまいことかけないな。どうにもつたない。自分の表現力のなさがもどかしい。
でも後で書こう、と思ってると「良かったなー」と思っているものほど書けない傾向にある*2ので今日はえいや、でのっけてしまいます。追記したくなったらしよう。

*1:私が出口を間違えたせい

*2:前回の「博多湾岸台風小僧」しかり、「サマータイムマシン・ブルース」しかり