sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

昭和レストレイション / パラドックス定数 @ 三鷹市芸術文化センター 星のホール

作・演出:野木萌葱
出演: 植村宏司 西原誠吾 井内勇希 生津 徹 堀 靖明 小野ゆたか 近藤芳正

ko-moto2014-05-24


久しぶりのパラドックス定数。2012年の「東京裁判」何度目かの再演以来です。
二・二六事件をモチーフとした作品、と聞いてはいましたが、またしてもまったく予習などせず観に行ってしまいました。そしてそれでもとても面白く見ました。

当日パンフレットに書かれていた内容を途中でふっと思い出していました。
「作品のために調べ物をしていると、対象の若さに驚いてしまうことがある。彼らはなんと若いのだ」といったような言葉(印象だけで書いてます、すみません)。
難しい言葉を使い、若者同士の中で厳然たる序列があり、国を良くしようという使命に燃え、その使命に意思をもって従ってただただ突き進む。


そこに放たれる大人側の視線からの言葉「詰めが甘い」と、
それに対する若者側の言葉「あなたはとてもずるい」「あなたが経験してきた30年という月日を経験した者は誰もおりません」「その30年後にはわたしはおりません」
そこから続くラスト。
なんて優しいのだろうと、残酷なようでいてしみじみと優しいと感じました。

チラシに書かれていた「なぜ、死なない」という言葉。この作品にここまでキモとして関わってくるとは思わなかったなぁ。ラストを眺めると、「なぜ、死なない」が嬉しい言葉として響いてくる。現実が本当に「なぜ、死なない」だったらよかった。


あとこれはいろんなところでいろんな人が「うおー!」とおっしゃってましたが、中尉、ですよねー。中尉、でしたよねぇ。あの終始落ち着いてよい声を発していた彼がほろほろと崩れていって子供のようになっちゃったラストシーン、心にしみました。

本作品のチケット。

相変わらず粋です。

メモ:こちらに投降を呼びかけるビラの内容が書かれています。

http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=230971#divulge