sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

愛の渦

監督・脚本:三浦大輔できました映画「愛の渦」。待ってました「愛の渦」。

大満足で映画館を後にしましたよ!

観終わったあと、後ろを歩いていたカップルが「だってこれ三浦大輔渾身のヤツでしょ」って話していたのを聞いて、「みうらはいつでも渾身ですよ!」と話しに割って入りそうになりつつ。

映画「恋の渦」の評価で、監督(大根さん)がものすごく評価されているのに脚本についてはあまり言及されていなくて、「あれは脚本がすごいんですよ!」とギリギリしていたわたしは、「みなさーーーん、ほら見て!」て気持ちです。同じ人が書いてること思えば、脚本のすごさがわかるでしょう?*1


公開されたばかりなのでたたみますね。中にはネタバレが含まれてると思います。

ただ、今からの方にいいたいのは、

  • きわどいシーンは満載ですが、この映画はエロさを中心に描いているものではないです。わたしは三浦作品の性的なシーンにエロさをいつも感じないので、そういう面で躊躇しなくてもいいと思います。女性限定上映も実現したみたいなので、女子はそういうときに行って足組んで堂々と大笑いしてしまえばいい。
  • 乱交パーティーを覗き見している感覚でご覧ください。というと、上で言ってることと矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、参加者たちが飛び込んで行ってる見知らぬ環境下でのコミュニケーションがどうゆうものなのかを安全圏から観察できちゃいます。こんなの他にはないと思うの。
  • あまちゃんで春子さんが放った「ゲスいのちょうだいよ〜」にちょっと共感できちゃう人にはぴったり
  • 一週間前にあったイベントで久保ミツロウさんがつけたキャッチコピー「アメリカよ、これが日本の乱交だ!」はすごく言い表してる。

……たくさんになっちゃった。みんな観ればいいのに!って思ってるんです。


予想していたよりも役者さんが体当たりだったのに驚きました。なんつかほら、男性は全裸にさせても女性のお胸は全力で守る、それが三浦大輔!なんつてちょっと思っていたもので。そしてちょっと前くらいにポツドールの舞台で気になっていた「サービスであるかのように一瞬差し込まれるセックスシーン」がもしかして舞台という制約によってもたらされていたのかもしれないな、とも思いました。チラリズムだけに目立つ、全見せしてしまえば強調されないという。
朝日のあたる家*2のシーンは映画でも「はっ」とさせられました。


あとやっぱりとにもかくにも麦ちゃん!素晴らしい。「わたしかわいくないし」とかよく言えたなそのかわいらしいお口で!とかもうなんかテンションおかしかったです。事前のラジオ番組で「門脇さんに関してはその場にいるだけでにじみ出てくるものがあったからそのまま撮ってた。演技指導はそんなにしてない。」と三浦さんが仰っていたのを思い出すと震えるほど。視線と表情の雄弁具合が恐ろしいくらいです。


すこしだけ残念だったのは、窪塚の顛末と、麦ちゃんの「やかましい!*3」的な激昂シーンが観たかったな、ってことくらいです。「ラスト違っていますよ」と聞いてはいました。窪塚のシーンは舞台版のが好きすぎたのもあるかもしれないです。メイン二人のシーン(とくに麦ちゃんの最後の台詞)は舞台版で見せなかったところを見せてくれているようでよかった。それだけに麦ちゃんの感情の起伏があらわになる途中のシーンをなんで入れなかったのかなって少し残念に思いました。でも、不満(というほどでもない)はそこだけ。


ついつい舞台版との答え合わせのように観てしまったのがちょっともったいなかったかな。前売り券があるからまた観にいくとします*4

観劇時のエントリ:
初演(2005) http://d.hatena.ne.jp/ko-moto/20050423#p1
再演(2009) http://d.hatena.ne.jp/ko-moto/20090314#p1

キャストデータ:

初演(2005) 再演(2009) 映画(2014)
フリーター米村亮太郎米村亮太郎新井浩文
ニート仁志園泰博岩瀬亮 池松壮亮
会社員富田恭史富田恭史滝藤賢一
工場員古澤裕介古澤裕介駒木根隆介
カップル男小林康浩美館智範柄本時生
店長のツレ安藤玉恵江本純子赤澤セリ
OL遠藤留奈遠藤留奈三津谷葉子
保母さん岩本えり内田慈中村映里子
学生小倉ちひろ佐々木幸子門脇麦
カップル女佐山和泉山本裕子信江勇
店員鷲尾英彰脇坂圭一郎窪塚洋介
店長青木宏幸井上幸太郎田中哲司

*1:なぜかわたしが誇らしげ

*2:やわらか表現

*3:「ガスの仮面」のCM

*4:初日が映画の日だったので前売り使わなかった