sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

読了: ユリゴコロ / 沼田まほかる

ユリゴコロ

ユリゴコロ

以前、「九月が永遠に続けば」を読んだ沼田まほかるさんが、本屋大賞へのノミネートと連動してか、やたら見かけるようになったのをきっかけに読んでみました。
ただ、この作品、好きじゃなかったです。退屈することなく、次へ次へとすらすら読んでしまったのですが、読み終わったときに思ったことは「好きじゃないな」でした。

(トリックには関係ない)妙なひっかかりなど感じずに読めばきっと面白いんだろうとは思います。少なくともブームを仕掛けようと書店が動いていたくらいですし。

以下、好きじゃないな、と思った理由を考えてみました。ネタバレしかかかないですし、この作品を好きな人は読みたくない内容だと思うので、たたみます。

おそらく「好きじゃないな」と感じた原因は以下の3つ。

  • 男は結局初恋の人が忘れられないのです

最近ちょっと近しい人の間でこういう問題になった&その人は「初恋の人」ではない「今の妻」だったから。どうしても、ずっと母として生きてきて、自殺に近いシチュエーションで亡くなったのに、夫も息子も「初恋の人」「本当の母」のことしか考えてないところがやりきれない。

  • オレも昔はヤンチャしてさ

↑と似てるけど、犯罪者を、周りが(まっとうに生きてきた人よりも)優遇しているように見えるのです。それは、わたしの大嫌いな「元ヤンキー自慢」「女を孕ませた自慢」が通じる世界とそっくりだ。

  • 前半のテンポ

話の構成上しょうがないとは思いますが、「2,30ページ、紙に書かれたショッキングな告白の内容」→「(話の中で告白を読んでいる人が)なんだこれは!」→「告白の内容」→「なんだこれは!こうこうこういうことなのか?」の繰り返しにげんなりしてしまいました。
あらすじだけばーーーーっと書いて、最後に一言「主人公に感情移入できてよかったです。傑作。」て書いてあるレビューを読まされているような気持ちになった。