sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

天日坊 @ シアターコクーン

作:河竹黙阿弥
脚本:宮藤官九郎
演出:串田和美
出演:
法策 後に 天日坊  中村 勘九郎
    人丸お六  中村 七之助
    猫間光義  市村 萬次郎
お三婆/赤星大八  片岡 亀 蔵
    北條時貞  坂東 巳之助
  傾城高窓太夫  坂東 新悟
   越前の平蔵  近藤 公園
観音院/鳴澤隼人  真那胡 敬二
      久助  白井 晃
    地雷太郎  中村 獅童
              ほか

初日観劇。
いやー!おもしろかった!
観終わったとき、なぜ初日にひとりで来てしまったのか、誰かとこの興奮を共有したい!と切に思いました。基本、観劇は単独行動なので、こんなことめずらしいよ。

歌舞伎は好きだけどまったく明るくないので、いつも以上に稚拙な感想しかかけてないですが、たたんだ中に。


「自分探し」に対して「そんなもんねぇよ」て言い続けてた宮藤さんによる、自分探し(?)の物語。ポスターに記された「俺は誰だあっ」、劇中でさまざまに色を変えて発せられるこの言葉と「マジかよ」が照れ隠しっぽくありながらも効果的に響いていました。どんなに消したくっても過去は消せないし、どんなに変わりたくたってそんなに人間変われない。そんな切なさを感じました。それと同時に、話にはそんなこと盛り込まれてないけど「それも悪くないけどね」な優しさもなぜか感じてた。
もともとの話を知らないのでなんとも、ですが、かなり忠実に書かれているんじゃないのかな。

あと猫!*1
化け猫じゃないほうの、大切なところで心を落ち着かせる大切な役回りの、猫!
わかるわかるよきみのきもち!


演出は音楽が気持ちよかったー。いわゆる歌舞伎で使われる楽器ではなくて、トランペット、ギターにドラム&パーカッション。上手側にドラムセットとパーカッションのブースが見えるので、ちらちらと視線をやってしまいました。直に座っている桟敷席では、音とともに振動が伝わってくるのよ、心地いいったら。


「大江戸りびんぐでっど」のとき、そのあと、いろいろ言われたりしたんだろうなっておもった。いわゆる歌舞伎らしさにのぞかせる宮藤さんらしさのバランスが、*2音楽も含めてぴたっとはまった気持ちよさがありました。ぼくは拍手を贈りたい!


その本を演じる役者さんたちのまた素晴らしいこと!いまさらわたしごときがいうことじゃないのは知ってるけど、圧倒的なパワーと落ち着きが体の中に存在してるのだなー、それも全員が!
さいきん「歌舞伎役者の身体能力はすごい」というコメントを読んだのはどこでだっけ。
桟敷席の通路横だったので何度か役者さんがお隣で演技されてて、豪華なお着物に触れてしまうたびにどきどきしました。七之助の骸骨着物かわいかったねー!天日坊衣装は、勘九郎桐谷健太に見えたりしました。…感想が幼稚ですみません。

殺陣と音楽で、つい新感線を思い出したり。いやいや、こっちが本家ですよ、ほんとにまったくいやいや、こっちが本家ですよ。と観ながら自然に2回言ってたのできっと大切なことです。
その殺陣、とにかく七之助の身のこなしがかっこよくてね!女だてらにしなやかかつどっしりとした、筋がド真ん中に一本通った上でのリズミカルな殺陣を見せてくれました。体が動くときのライン取りがね、とにかく美しい。



家にたどりついたとき、こんなニュースを目にしました。

「俺は誰だぁっ」と言っています。

昨年、「三月の5日間」何度目かの再演のあとにイラクからの米軍撤退完了のニュースをみたときみたいな偶然。




パンフレットを購入しなかったのですが、帰ってきてから、ギターが岡村ちゃんのツアーでおなじみ佐藤純朗さんだったのにおどろきました。この日、岡村ちゃんのツアー先行予約と、直前にフェスへの参加発表&先行チケット発売があって、わたわたしていたところだったせいか、観ながら岡村ちゃんのことちょっと思い出していたのです。トランペットかな?と思ってちょっと澤野さんの姿を探したりしてたのですが*3、ギターだったか。



<追記>
9月にWOWOWで放送されるんですって!わー楽しみだ!

*1:あとサイ!のテンションです。

*2:これは演出の範疇でしょうが

*3:いらっしゃいませんでした