sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校 / ロロ @ 新宿眼科画廊

   小学生の恋の話と運命に抗おうかな、どうしようかなって悩んでる人の話。
   2009年7月に上演し大好評を博したロロのマテリアルを初再演!
   そしてはじめての旅公演、京都に行ってきます!!


脚本・演出:三浦直之
出演:亀島一徳 篠崎大悟 望月綾乃 北川麗 小橋れな 崎浜純 多賀麻美 三浦直之

タイトル勝ち!

期待しすぎてそれほどでもなかった、というのが正直な一言感想です。
演劇好きの人たちからの評判がやたらいい、という印象をもって観劇してしまったからかもしれません。

苦手だなーと思ったのは、先生に集約されていたエキセントリックなキャラクターと突飛な行動。「稲中はオッケーだけど、マサルさんクラウザーさんはダメでした」な私には受け入れがたいタイプのマンガ的キャラクター/行動に見えました。
あときっと作り手が若いことがとてもよく分かってしまう程度にはわかりやすい「あざとさ」でしょうか。「若い」といっても世代を限定してた、って意味ではなくて、「あ、たぶん素直な人なんでしょう」と思わされるストレートさ。「ストレートなあざとさ」って矛盾しているようですが、そういうものがセットとか各シーンとか、いたるところに見えたような気がしました。具体的に言うと、開演前のピアニカとか、女の子が出せない椅子をさらっと出す男子に対する「すごいねー」とか。
思えばこの「ストレートなあざとさ」って相対性理論に感じたのととても似てる。自分にとって素直に受け入れにくいという点でも。


蜻蛉がらみのシーンと、トビの告白は好きなシーンでした。
蜻蛉がぶったおれるシーンはコネクタのぶっちぎれ*1具合のインパクトがすごくて、これ、お金あったらもっとビカビカさせた演出になりそうだけど、それとこっちとどっちがすごくなるだろうか、意外とこっちではないだろうか、と勝手に想像しちゃってました。


いろんなところで「怒涛の」と評されていたラストは、かのニューミュージックの有名曲に同時多発会話とラップをのっけられてました。正直、同時多発会話は、それを行うことによってカタルシスを増幅させようという意図を感じるととたんに興味をそがれてしまう部分が(自分には)あって、今回はちょっと「……。」と思ってしまいました。それから、あの曲を持ってくるのは単純でずるい。
なんですが、本来苦手なハズのラップはとてもよかったです。「きみがたとえゴリラでも どんなに君がくさくたって そんなの僕の愛の前では」みたいなやつ。「舞城だ、いや、岡村ちゃんだ、いや舞城と岡村ちゃんの間だ、違う、舞城-岡村ちゃん-ロロってラインだ」と即座に私の頭の中でグラデーションができました。小学校の教室を表現するのに貼り出されている習字の中にひとつまぎれていた本公演のタイトルを書いた一枚、あれもそれっぽかったし。はい、思いだしているのは舞城作品の中でも断然「好き好き大好き超愛してる」です。つか、これは作る側も意識していたのではないかしら。ないかしら?<あんまり自信ない


若々しくってその若々しさをまっすぐな目で見つめて楽しむことができれば、最高に楽しいんだろうなーと思います。それなりに楽しかったけれど、最高に楽しむには、わたしには若さとまっすぐさが足りなかった、というか。

*1:正確にはちぎれてはいなくて外れただけだけど