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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

『ブランコ』完結記念ウィスット・ポンニミット ライブ!@原宿VACANT

ko-moto2010-10-05

タムくん(ウィスット・ポンニミット)の初の長編であるらしき作品『ブランコ』がこのたび完結したとのことで行われたライブ。ゲストは星野源

まるっきり源ちゃん目当てで出かけていきました。タムくん作品は、サケの「インストバンド」といつかどこかの古本屋さんで手にとってぱらぱらめくった単行本を見たことがあるくらい。正直、人気はよく目にするもののあまりその良さが分からなかったんです。ドロップ時にどこみても絶賛されていた「インストバンド」のPVも含めて。


そして今日、「ごめんなさい」て言いました。名古屋の天むすと手羽先に続く「食わず嫌い」もとい「食わずピンとこない」に対する謝罪。源ちゃん観にいったはずだけど、アニメーションとライブドローイングの印象が強くて、あんまり源ちゃんのお姿は観てなかったみたい。とはいいつつ、そのお声とライブドローイングとの相性はすごくよくって、タムくんの目をみはるよな綺麗な手(ほんっとに!)から生み出される絵やら紙やらを眺めながらの綺麗なお声、ってのは最高に心地よくってちょっぴりさみしかった。
「老夫婦」で描かれた絵が萩原朔太郎の「さびしい人格」を想起させたものだから*1、自分はなんだかんだこういうのがずっと好きなんだなと思ったり。
今日のために作ったという「ブランコ」という曲。タムくんが歌詞をつづりながら間に合わないあたりをごまかしたりしながらの演奏。タムくん曰く「『ブランコ』の全部が入ってるすごい曲。ぼくの、6巻分が……」とのことでした、わはは。この中の「だけど死ぬのは怖いし未来も見たい」(うろ覚えです)という歌詞にがつんとやられてしまいました。未来。見たいかなわたし。
そしてアンコールのラストに源ちゃんが再登場して「前からアニメを作ると言っててまだ作ってない」といいながら「ばらばら」をやりました。それにあわせてタムくんが描いた絵が、なんだかすっごくよくて。ああいう形で描かれるんであればぜひぜひ観たい!と強く思いました。


タムくんのライブってあんな風にやるんですね。後ろに映像を流しながら、それに合わせて演奏する。かわいらしいだけじゃなくってグロっぺかったり、きちゃなかったりするものも含まれているのがいいですね。OPPのやつとか、ご本人も「結局これがうけるのか」みたいなことおっしゃってましたが、確かに一番笑い声が多かったように思います。

犬が飼い主を待っているやつに「ああ、いつも猫にこんな思いをさせちゃってるのかしら……!」と華麗にウーチャカ化したり、うたうたい女子の話に「見た目と幸せ」について思いをはせてみたり、“風をあつめて”の名曲っぷりにじんわりしながら、動物がたっぷり登場するアニメににこにこしたり。そんな中、アンコールに登場したアニメにがっつんやられました。さきほどのブランコと合わせて、こんなにも当たり前のことをやってきてない、持っていない、という手遅れ感とでもいえばいいでしょうか、そういったものにぐわぁーっと襲われました。うかつにも履いてきてしまった高いヒールのパンプスのせいでじんじん痛む足と合わせていてもたってもいられない気持ちに。


とぼとぼと歩いて帰りながらずぅーんと沈んでしまいましたが、そんな中でも「ありがとう」て言いたい気持ちに。ここまで響くものを観ることができたってのが久しぶりのような気がします。よかったんだほんとに。




*1:必死でのぼってのぼってのぼってあおぎみたら広い空が広がっていて涙を流す