sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

すこし、とまる / 蜻蛉玉 @ 日暮里d倉庫

作・演出:島林愛
出演:荒川大 荻原聖子 神林裕美 上村梓 熊埜御堂彩 小松留美 シトミマモル 島林愛 用松亮

ko-moto2009-04-28
初、蜻蛉玉でした。以前、アゴラでの「ニセS高原から」の企画に参加されていたようなおぼえがある。久しぶりにお名前をみた気がするなぁ、と思っていたら、どうやら1年半くらい活動されていなかったそうで。島林さんが最初っから最後までいきいきとされていて、公演ができる喜びを全身から放出されていたように思います。

オリジナルらしき童話をベースに「生」が描かれていました。一見、「このシーン、なにゆえ?」というシーンも、根っこのところが細く、でも確かに一本つながっていたので、ラストに見えた景色が重くありながらどこか爽やかに静謐な印象を受けました。別に風景を描いていたわけではないんですが、最後にこれまでのシーンが紡ぎだしていたものがパーンとはじけてひとつの大きな何かが見えたような気がしたのです。こういう、周りからエピソードを固めていくタイプの作品は大好きです。……アフタートークを聞いていると、私の感じたことを描いていたわけでもなかったのかな?とも思っちゃったけれど。自分がそういう受け止め方をしたってことも含めて好きな作品でした。
本日初日、あと3日間あるのでたくさんの方が観にいくといいと思います。あさってのポタライブとか参加したいなーって思ったもの。行けないんですけど。


アフタートークはハイバイの岩井さんでした。いやー、面白かった。とにかく島林さんは言いたいことがたくさんあってほとばしりまくってました。岩井さんが島林さんに質問していく、という形式で始めたハズなんですが、もう岩井さんが質問するスキもないくらいで。質問と回答もズレてズレてズレまくっていたんですけど、そこに島林さんの前に向けて表現していく喜びがダイレクトに感じられて非常に楽しかったです。岩井さんが「この間質問されたんですけど」って「喜怒哀楽のどれが一番強いですか」という質問をされていて、ああ、それは劇談のときの、とにやりとしました。島林さんは「哀」だそうです。でもなぜかハイバイの人(岩井さんを含め、タッペイ氏とか)はみんな島林さんと話していると「……怒ってる?」て思うそうで。トークの途中に島林さんがほとばしってるときに、岩井さんが絶妙のタイミングで繰り出した「ほら怒ってる!」がめちゃくちゃ面白かった。作品のことを探ろうと丁寧に質問を繰り返す岩井さん*1と、伝えたくてしょうがない島林さんの姿勢がほほえましくも興味深かったです。

「すこし、とまる」=「少し止まる」。「止」と「少」を組み合わせると「歩く」となる矛盾。その矛盾そのものを描きたいという気持ちはあったそうです*2。「生きるために少し止まりながら歩く」というとらえかたも「歩いたって止まったって同じこと」ととらえることもできますね。さて、どうしましょうか。

*1:真摯だなーと思った

*2:アフタートークでの島林さん談