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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

あんなに優しかったゴーレム / ヨーロッパ企画 @ あうるすぽっと

作・演出:上田誠

出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗
典、西村直子、本多力

サブタイトル「〜やったね10周年ツアー〜」。

すごく素直に楽しめた作品でした。
ヨーロッパ企画という、愛すべき作家と俳優たちが(人にみせるということを充分理解したうえで)楽しんで作った作品。に、見えました。ちょっとした言葉とそのタイミング、俳優たちのかけあいににじみ出る、人と作品に対する愛情があふれかえっちゃってる様子にこちらも幸せにさせてもらいました。
永野君が飛び込んできて発する「最後のアレなんですか?」から、ぷよぷよを経
て、挙手を経て、あっさり逆側に倒れる素直さがたまらない。永野さんがかわいらしかったなー。その飛び込みから飛び道具を抱えた後に呆然としている様子まで。

築地本願寺で「浄土真宗は曖昧なものを信じません。だから本願寺にはお守りやおみくじがないんですよ」という法話を聞いた次の日に、曖昧であるとしか思えなかったものを徐々に信じていく人たちのお芝居を観て。「現実」と「妄想」という対比ではなく、たとえ目に見えるものであっても自分の信じ方によってはそれが曖昧になったり、逆に目に見えないものでも信じてしまえばそれは確かなものになっちゃうんだよな、しかもきっかけも分からないような簡単なことで、とかいうことをぐちゃぐちゃと思ったりしながら劇場を出ました。わはー!て笑った後になんかちょっと考えてしまいました。

この作品、発表後に女優2名が降板されたのですが、その後に新たに書き直されたものなんですってね。どうりで降板があったにしてはしっくりしすぎていると思いました。降板前の構想は刑事モノだったとか。それバージョンでも観てみたかったかも。

それから上田さんの次回作「昭和島ウォーカー」にむたくた期待していますよ。工場が舞台と聞いちゃ行かないわけにはいかないのだ。まだチケットとれてないけどね。