sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

sisters / パルコ・プロデュース @ パルコ劇場

作・演出:長塚圭史
出演:松たか子 鈴木 杏 田中哲司 中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎

節約節約、と唱えながらプレビュー公演へ。
んー、ざんねん!役者さんたちは素敵でした。
思ったことの詳しくは後日。

(7/8追記)
プレビューを終え、本公演が始まったばかりですのでたたみます。


ざんねんだった、というのは作品の良し悪しというよりも、長塚作品に対する自分の姿勢の問題であったと思います。「ドラクル」のときのあまりの女性性描写の稚拙さに口をあんぐり開けて帰ってきてしまった、あの体験が、長塚作品で「女性性」を前面に出されると退いてしまうパブロフ現象を起こさせたのかと。そう、今回は姉妹を扱っていたのですが、そこに絡められているのが近親相姦であって、つまりはいやがおうにも認識させられてしまった己が性、だったわけです。そしてセットも含めた演出はどこか翻訳劇のようで。うーん。ケイシー、クレバーにみせたい路線、女性を描きたい路線は引き続いているのだね……、とかなり冷めた目で観劇することになってしまいました。観終わって数日たった今思い出すと、きっとそう悪くはなかったと思えるんですけど、んーでもやっぱりお松のラスト近く+ラストのお父さんや妹に対する叫びはどこか上っ面をなぞった台詞のように聞こえました。お松だったからどうにか胸に響くシーンに作り上げられていたけれども……。そんな印象。狂気を表現している中で、役者に「君は狂ってる……!」てまた言わせてましたし。これ、「ビューティー・クイーン・オブ・リナーン」の時も書いたように思いますが、役者と観客をもっと信頼してくれるといいのに、と思うんです。観ていれば狂ってきてるなんてことはわかるし、ステージ上の登場人物が「こいつ狂ってる……!」って思っていることだって観ていて十分にわかるんだもの。わざわざ言われるとなんだかげんなりしてしまう。小さいところなんですけど、全体を覆う作・演出の目に共通した雰囲気のように思うんです。

この作品を最後に長塚さん、1年ほど留学のためにお休みされるとのことですが、うーん。阿佐スパ本公演以外はしばらく観にいくのやめようかなと思わされました。自分が今この路線での長塚さんを観るモードではない、といいますか。


役者さんたちは素晴らしかった。特にお松。失礼な話、途中で何度も「ああ、早くノダ作品でのお松が観たい」と思ってしまいました。上にも書きましたが彼女の迫真の演技がこの作品に瞠目させる要因になっているように思いました。水演出やら、かなり派手にぶったおれるシーンがあるので怪我やお風邪を召されませんよう……*1。あの水の演出、背後に映る水面の模様がとても綺麗だったけど、役者さんへの負担大きくないですかね?あと靴や服や家具を心配しました。それから吉田さん。このお二人が見ごたえあったなー。さすがです。

*1:怪我はプレビュー公演で既にされてたみたいですね。うわー、気をつけて……。