sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

全然大丈夫 / イヌ的

ko-moto2008-02-26

シネクイントにて、映画「全然大丈夫」上映と一緒に行われた「イヌ的」上映会および荒川良々+藤田容介監督トークショーの回に行ってまいりました。なんか説明長いな。全然大丈夫観て、そのあとにイヌ的観て、その後にトークショーがあったんですよ。

内容について書いてしまってるのでたたみます。


まず「全然大丈夫」。えーと。あまり響いてこなかったです。おそらくそろそろ「ヌルい」とか「ほっこり」とか「負け犬」とか「(何も起こらないという意味での)リアル」とかにお腹いっぱいになってしまったのかもしれません。えらそうに。木村佳乃さん演じる女性が好きになれなかったのもあるかも。何もできない故に男性の庇護欲をかきたて、結果的にはやりたいことやって一番居心地のいい場所を素で手に入れるのが。ええ、うらやましい。だから好きになれない。女くさいどろどろです。
白石加代子さんがステキでした。あとうっちーが男前に見える。や、男前か。男前です。そして安藤玉恵さん。先日の米村さんといい、キミたちはそういう役が本当にお上手で。好きだ。

あと申し訳ないけどトークショーがあるししょうがないのだけど、良々ファンらしき方々(複数)が笑いすぎるものだから退いてしまいました。だって良々がちょっとおどけただけで笑うんだもの。そして隣の女の子がずっとビールを飲んでいてくさくてくさくてしかたなかった。映画館でビールって、多分飲んでる人が思ってるよりずっとくさいです。これが醍醐味、という方がいらっしゃるのは分かるんですけど、私にとっては指定席でお隣がビール飲みだとホント迷惑。映画の思い出のひとつとしてビール臭が入ってしまうのです*1
あっ、作品と関係ない愚痴になってしまった。最近こういう愚痴が多くて、「家で観てろよ」は私の方かもしれないなって思う……。

「イヌ的」。個人的に目当てなのはこちらでした。井口昇監督作品を観たときと同じような、どうしようもなさがべとーと根っこに張り付いてるよな感覚。あんまり自主制作映画は数多く見てないのですが、「あーこんなカンジなのかなぁ」と思いました。隅から隅まで本多劇場を使いこなしておられました。トークショーで監督がおっしゃってましたが、皆川さんや良々が思い悩んでる部屋は当時の彼らの本当の住まいだったそう。村杉さんが作業されてたのは監督の本当の住まいだったそうで。なぜ村杉さんだけ自宅公開できなかったのかは不明。誕生日パーティーシーン用に飾りつけられまくった良々のお部屋は、映画の中と同じくしばらくあのままだったそうです。
まだまだやせてた皆川さんが、ずっとやってた村杉さんの写真モデルを断って、彼女とデートして失敗して、活き活きした良々と村杉さんのもとにイヌを盗みながら戻ってくるのがたまらなくなさけなくて、たまらなく素直で、どうしようもない人たちなのにどうしようもなくうらやましくなってしまいました。あのつまんない映画観た後の会話(というか一方的に皆川さんがしゃべってる)シーンとかたまらなかったなー。あれあるよな。自分がやってしまったことも、自分がやられて「あーあ」てなったことも両方あるよな気がする。
あと、はしゃいでるところを見られて漫画みたくわかりやすく「がーーーーーん!」てして*2、屋上までかけぬけて「はずかしいよぅ、はずかしいよぅ」てスーパーのビニールかぶって横たわってる良々がねぇ。はしゃぎベタ人間としては大きくうなづきながら観てました。そりゃサダヲもつい泣くわ。

トークショー。30分くらいでした。司会に歌人の枡野さん。
枡野さんが「イヌ的」が大好きで、でもメディア化されてないこともあって、周りに語れる人がいなくて、語り欲が満たされないんですよ!て言ってました。そんな熱意がほとばしりすぎの司会に対して、監督がややたしなめるように情報をしゃべってくれる、というようななんかちょっとヘンな進行でした。大好きなのは分かるけど、本来は「全然大丈夫」のトークショーなのに、せっかく話を「全然大丈夫」に戻してもすぐ「イヌ的」の話始めるし。ここのところ大人計画がらみでしか枡野さんに触れてないのもありますが、毎回毎回インタビューで自分の熱意ばかり語って、仕事としての目的を見失っているように見えるんですけど大丈夫なんでしょうか、枡野さん。今日のお客さんは元妻の話とか求めてなかったと思うよ……。離婚前の著作とか結構好きだっただけになんか悲しいです。

そんな中でも監督からはいろいろと。

「全然大丈夫」について

  • 病院内清掃は、昔監督自身が8年間ほど(長い)やってたので、実体験に基づいたリアルさです。指を折りはしないけど、大きい病院のエレベーターって一度逃すとなかなかこないからよく焦って押してた。突き指くらいはする人がいました。
  • 木村佳乃さんが取り直しがあったって言ってた、という話から、取り直しはなかったけど、キレイな人なので、自分のイメージしている役とはどうにも違う、もっと役を自分に憑依させて!といったアドバイスはした。でも、途中で鼻血たらしながら部屋に入ってくるシーンで、彼女ならではの華が感じられたのが「いいな」と思い、イメージの違いについてはそれから言わなくなった。
  • (良々の発言)あの古本屋は年配のご夫婦が営まれているホンモノの古本屋で、年配のご夫婦なだけに、撮影をあまり夜遅くまでできないという制約があった。

「イヌ的」について

  • 上記の「イヌ的」エピソード
  • 普通コーラのことを「あのー、なんだっけアメリカの、茶色い、飲み物」とは言わないよね、忘れないよね
  • ぬいぐるみのイヌは、簡単に監督が絵を書いて、それを大人計画の衣装さんがホンモノと、村杉さんが作った設定のちょっとしょぼいのと両方作ってくれた。

あと、先日フジテレビで放送された深夜ドラマ「さば」は3月後半(26とか言ってたかしら)の深夜(2時とからしい)に再放送があるらしいですよぅ。未見の方はぜひぜひ。

*1:ゲキ×シネのアオドクロがそうだったなー、とか1年前でもありあり思い出せる

*2:うめづさんぽかった