sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

陰漏【画廊版】 / 乞局 @ ギャラリー・ルデコ

作・演出:下西啓正
出演 :秋吉孝倫 下西啓正 竹岡真悟 中川知子 田上智那 墨井鯨子 木引優子 北村延子 岩本えり 宮崎圭史 三橋良平 根津茂尚

弟が死んだ。
一応自殺らしい。
両親がやっと死んだから、だと思う。
弟は今が好機と死んだ。
遺書も無しに……。

──1960年代。
まだ抵抗力のあった時期。

生きようと藻掻いて「運動」している者もいれば、
「運動」を停止しようとする者もいる。
ただ「息をする」のみに徹する。
部屋からは出ない。
極力動かない。
心の内も揺らさない。
自分の中の砂が無くなるのをひたすら待っている。
何の信条も無いクセに修行者のように厳しく部屋に佇む。
彼らはところどころに点在している。

弟もその中の一人のはずだった……。

乞局は「乞局」再演に続いて2回目。
奇妙でねっとりと重くてヘンな精神世界が出てきてうんぬん。あーこれを評価すると分かってる人っぽいのかなぁ、とちょっぴりいじわるな見方をしてしまいました。面白くなくはないのですが、今日の自分にはちょっと合わなかったようです。

というより毎回の公演のタイトルが読めない2字熟語であったり、喪服割引があったりというあたりの感覚とか、こねくりまわしてねっとりさせることによって、芸術性を高めようとしているかのような、うーん、当たり前なのですが、芸術的評価を強要されているような気持ちになるので、団体自体が苦手なのかもしれないです。きっと言葉とか表現方法にこだわりたい方なんだろうとは思うのですが。
でもあの、いずれなにかの作品でガツンとすっごいのがきそうな気がしていて、公演ごとに観ようかどうか迷ってるという。岩本さんが好き(今回から乞局所属になられたそうです)なんですよねー。

今日はルデコの階段が荷物預かりのためにか使えなくなっていて、ルデコってエレベータがシンドラー社製なのでスリル満点でした。なんとなくルデコでは階段使っちゃう小心者なので。