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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

ショートショートムービーフェスティバル / ヨーロッパ企画 @ 新宿明治安田生命ホール

さすが本選。予選のときみたいに「わちゃぁ……」て作品がなくってたっぷり楽しみました。ここのところすっかりニコニコと*1シュヴァンクマイエル漬け、しかも主に短編だったので、「オレの目、肥えちまってね?」となぜか上から目線になってみたりしながら臨みましたが、もうすみませんでした。ちょっと観てみただけで調子にのりました。
〆の言葉でせいこうさんも仰ってましたが、ここまでいろんなタイプの映像が集まってる*2のがらしくてよかったのではないかしら。

しっかし驚いたのは広い客席にぎっしりのお客さん。「前売りチケット売り切れで当日券もない」って聞いてたけど、前回開催のイマジンスタジオくらいを想像してたから「そうかもね」くらいにしか思ってなかったです。イマジンスタジオキャパの3倍くらいはいたんじゃないですか?何効果?誰効果?

司会は中川さん&上田さん。ゲスト審査員はいとうせいこうさん。これまでの「5分以内の映像ならなんでも」に条件が加わって、全ての作品タイトルが「黄金」でした。


下にそれぞれについてちょっとずつ書いていきます。記述は上映順。名前の前に書いてあるのはタイトルの「黄金」にちなんだキャッチフレーズ的な文言です。これ結構すきだった。

長いのでたたみます。

猫背の愛した黄金比上田誠(ヨーロッパ企画)
ゴールデンウィークは続く:角田貴志(ヨーロッパ企画)
金鳥の夏・淳太の夏:山口淳太(ヨーロッパ企画)

ヨーロッパ企画枠。


上田さんのは昨年の作品に続く刑事モノ。オチはダジャレでした。ダバダー。著作権無視の作品づくりに中川さんから「失格じゃないの」なツッコミが。昨年の作品よりは好きでした。
角田さんのはまたしてもひとりで作った作品。ラジオDJに挑戦されてました(それを部屋で聞いてじだばたしている角田さんの図でした)。角田さんのは昨年の作品の方が好きでしたなー。「よくそのこもり声でDJやってみようと思ったよね」と司会のお二人からのご指摘。なかなかうまいでしょう、とにこにこの角田さん。
山口さんのは淡い恋モノでした。うわー、むずがゆい!本多くんがうろちょろしていると思ったら本筋にからんできました。むずがゆい。恩田陸の「チョコレートコスモス」を読んでみたくなった。

サンプリング錬金術ユニット:かせきさいだぁ≡(ミュージシャン) + 田口 陵(グラフィックデザイナー)
初恋ゴールドラッシュ:銀杏BOYZ(ミュージシャン)
24金のスクラップ:加藤隆夫(『SCRAP』編集長・ミュージシャン)

ミュージシャン枠。


かせきさんのはハグトン愛あふれる作品でした。なんかロボコンとか思い出すような下手な芝居にベタなリアクションにゆるゆるテンポ。ちょっとずつ観ているうちに癖になっちゃった!てタイプの作品のような気がします。出てきたハグトンの着ぐるみは何の使用目的もなく作ったものだそうです。着ぐるみ作れる方が材料費だけで作ってくれるというので作ってお部屋に鎮座ましましておられたそうです。日の目をみれてよかったね。ハグトン部分とそれ以外の部分がぱっきり分かれているのは、田口さんともめないためだそうです。でももめたそうです。

銀杏BOYZ中野駅前ゲリラライブ映像と見せかけてミネタによるメンバへのどっきり。SSMFページにある「唾しぶきインタビュー」*3でも言っているとおり、ホントみたまま「黄金」でした。文句は言わせない。「ああこれ中野駅前」ってだけでなんか面白かったです。チンくんが「逃げよう」みたいなフレーズを歌って去り気味になったところをギターのストラップを引っ張って首から戻されてる姿に爆笑しました。あびちゃんと村井くんが会場に来ていて、「最初はミネタも一緒にやろうって言ってたのに前日にゴネだして」「曲も作るって言ってたのにやめちゃって」と言っていたら、「ほらやっぱもめるでしょ」ってかせきさんが力いっぱい同情してました。そんな銀杏の二人は美保純さんのいいにおいにずっとメロメロだったそうです。

加藤さんのは脱出ゲームをやる作品。部屋に閉じ込められたヨーロッパ企画の3名(永野さん、酒井さん、松田さん)が、部屋に隠されてるヒントを元に謎解きをするものでした。なんかそういうゲームがあるんだってねー。ぷっすまとかでやってそうだなと思いました。

金メッキは傷つかない:ムロツヨシ(俳優)
ゴールデン邦画劇場』:山本浩司(俳優)
特濃ボンカレーゴールド:サニー・フランシス(DJ)

俳優枠。


大阪大会では審査員の本広監督にすごい勢いで怒られたらしいムロツヨシ作品。大阪では得票数0だったらしきムロツヨシ作品。あらあらあら。昨年の作品「友達」を思い出すとムロ作品はこんなカンジなんですなぁと思った次第。というか思い出した自分に驚きました。審査員のせいこうさんはこの前日に「犬の霊がついている」といわれたらしく、この作品には犬が出ていたので、せいこうさんというよりは犬的にゆるせたそうです。

山本さんの作品はドキュメンタリー?山下淳弘監督と脚本の向井康介さんと山本さんの酒の席のシーンから。おお「リアリズムの宿*4。ラストには新井浩文も出てきて静かに喜びました。新井さんが映されると山下監督がフレームアウトしてしまうという背の高さっぷり。喜んだ(ごめんなさい)。作品がちょっと後味悪い雰囲気で終わったんですけど、上映後の山本さん、トークでも一切フォローなかったですけどだいじょぶなのかしら。

サニー・フランシスさんの作品はなんだろ、よくわからなかった。ご本人は大爆笑必至!と上田さんに語ってらしてそうです。せいこうさんの「だってあれ人物紹介だけで終わってたじゃない!」とか、上田さんの「会話にいちいちインドギャグを絡ませてくるんですよねー」とかの、この作品に対するみなさんのコメントの方がおもしろかった。

どしゃぶり金色夜叉永野宗典(ヨーロッパ企画)
殴り描く黄金の右腕:植田豪(一般)
金細工師の童心:安居智博(造形師・カミロボ)

人間出てこない枠。


永野さんのはクレイアニメ。去年は納期遅れのせいで不参加となっていたので、永野さんの作品を観るのは初めてでした。ちょこまか動くきっちゃないクレイ(動かすたびに汚れが付加されていってる)に超早口のナレーション。怒涛のまくしたてに圧倒されました。ご本人のコメントによると「世界初の自己啓発クレイアニメ」。確かに。「愚鈍」とか言っちゃってるものね。私はこれに票を入れました。

植田さんのは一般予選で既に観たもの。こうやってまとめられると印象違います。一般予選の時は「自分が選ばないでもこれは選ばれるだろう」と思いましたが、今回は「どうかな?」って思いました。やっぱり本選だけあって選抜された作品の上映なんだなーって実感させられました。

安居さんのはなんかすごかった。ザ☆クオリティてなカンジで他の作品とは画質レベルが違うの。プロの仕事だわーと思ったらプロの方々と作った作品ということで。なるほど。最後のコメントでも「なんでこの大会にこの作品だしちゃったかな(もっと知名度の高い大きな大会に出せばいいのに)」というせいこうさんのコメントが飛び出した作品でした。

金言しゃべりたガール:松田 暢子(ヨーロッパ企画)
純のエンゼルマーク:美保 純(女優)
金字塔からの怪電波:土井コマキとspicadesign(DJ・映像作家)

乙女枠。


松田さんのは「あれこのひとM1で観た人」*5

美保さんはもう芸能人だなぁ!舞台に登場するやいなやカメラマンが登場してバシュバシュいうカメラで撮りまくってました。
作品自体は私はあまり面白くは感じなかったです。映画を観るのが好きな人がとった映像だなぁと思ったといいますか(ひどいですか)。せいこうさんからは「尺をのばしてぜひウチの映画祭に」*6って誘われてました。
SSMFで初めてのキスシーン!と沸いたり、美保さんが「キン○マ」っていうたんびに「ああっ、ありがとうございます、ね、みなさんに、お土産が」「ああっ、また、お土産が」って言い続ける上田さんが面白すぎました。

土井さんグループは。最後のトムとジェリー的連鎖に連鎖を重ねてひっどいことに、ってタイプの作品は好きなハズなんですけどあまり響かなかったです。単に蚊の飛ぶ音が不快だっただけかもですが。

13人目のゴールドセイント:黒木正浩(ヨーロッパ企画)
せり出てきた金のくす玉:喜多春仁(一般・劇団おめでとう)
犬に笑いの金メダル野性爆弾(吉本興業)

D.T.枠<せいこうさんの冴えまくりネーミング。

あーしょうがないなーこういうの、って失笑しながら観るタイプの作品たちで、ウケる理由がピンとこない作風の作品たちなんですが、「D.T.作品」と言われるとふかぁ〜くうなづくことができます。ありがとうございます。


黒木さん。この人はお子ちゃまでそしてヨーロッパメンバに愛されてんなぁ!てカンジ。石田さんがお姫様だっこをしていてほぉ、と思う。自分にお姫様だっこ経験がないことに気づいたりして。あと黒スーツでふりむいたスワーに(体型的に)一瞬岡村ちゃんを感じてしまったことはヒミツ。

喜多さん。これは一般予選で観たもの。やっぱあんま面白いとは思わなかったです。でも作品の中からみてとれるようにご本人はものすご愛すべきキャラ。

野性爆弾さん。私の中の「野性爆弾」ってボキャブラ時代からとまっていたので、怖い風貌の方の人がまんまるになっていたのに驚きました。この作品けっこう好きでした。無言でちゃっちゃっちゃって動くのがクレイアニメ的というか。

黄金郷ぶらり珍道中:モッカモッカ(演劇ユニット)
ガードマン金太郎:高岡 晃太郎(一般)

これはなんだ。小劇場役者出演枠?



モッカモッカ。トヨエツで全てをもってってた。ホント、最初の5秒で全てを。笑ったわぁ。どうみても加藤啓だったけど。トヨエツってなんで笑えるんだろう。フキコシ・ソロ・アクトで名前出てきたときもすんごいおかしかったんだよなぁ。コメントでも言われてたけど秀逸な人選。
高岡さん。これも一般予選で観たもの。大堀こういちさんとノゾエさんが出演。

結果は1位:上田さん、2位:永野さん、3位:モッカモッカでした。

*1:一応にごしてみた

*2:通常の映画祭では変り種が予選で落とされちゃう、という事情もあるらしいですが

*3:このミネタへのインタビュー、あんまり映画と関係なくって、相変わらずどこだろうがなんだろうがしゃべりたいことをしゃべりたいだけストレートに話してて好きだ

*4:「どんてん生活」もだそうですね

*5:変ホ長調の方が出演されてました

*6:ぴったり10分のショートムービーフェスを開催されるそうです。http://www.digitalshortaward.com/