sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

2006年観た舞台

66本。み〜た〜な〜。イベント系6本(ヨーロッパ企画な昼、ショートショートムービーフェスティバル(2日間)、ふじだなサミット、文芸漫談、大人フェス(2日間)、カミロボ)、ダブり3本(三月の5日間、ウーマンリブ先生、エンジョイ)含みます。

たくさん観てるなぁ。さすがにどういうのが好みか分かってきたような気がします。なのでがんばって来年は減らすよ。毎年言いながら増えてますが。
ベスト3は、難しい。けどトップだけは決まってます。ぶっちぎりです、はい、今年しつこいくらい色んなところで口にしてきたアレ。

仏恥義理。
3月にこの作品を観て、その後で小説版を読み、戯曲を読み、12月にTV放送で観て以来気づけば再生しているこの作品。何がぐっときたのか、数多ある劇評のように演出技法に言及した書き方はできないけれど、ここのところ何度も見返して思うのは、この作品のセットもしかけも配役もない素っ気無い風情の中に、突然に現れるとてつもないロマンティックさ加減が大好きなような気がしています。レッツゲットナウロマンティック。決して戦争が「刹那」や「非日常」を表すだけの道具として描かれているとは思わないけれど、そんな背景がありつつ、休憩挟んだ残り30分くらいで描かれる山崎ルキノさんと山縣太一さんのシーンがロマンティックすぎるのです。「歴史とリンクする」とか「死ぬ前に思い出す確率そうとう高い」とか「そういうこと分かる人とすごいスペシャルな5日間」だとか「これからもいつまでも系」とかとかとかとか。あそこのロマンティックさったらない、って思うのです。さらに映像だとやっぱり分からなかったんですけど、あのシーンの山縣さんが「うん、うん」って話を聞いているときの視線がすごかったんです。ラブラブ男子の観ていて恥ずかしくなるくらいの「惚れてるねえ」って視線のようでいて、その一歩手前で思いっきり突き放すような視線でして。うわぁぁぁああ!ってなった。後々、岡田さんと宮沢さんが山縣さんの女たらしっぷりやいいかげんな人っぷりをちょろりちょろりと書いていたのをみて至極納得しましたもの(ひどい)。そしてそんな視線たちがヘタすると観客のほうに当たり前のように投げられたり、台詞の中にもホントにこの場所の話であることが入っていたりするんですからもうこれが。すごく奇妙な体験だった。その山縣さんの視線に象徴されるように、観ている自分もぐっと作品の中に取り込まれたかと思いきや、急に突き放されたりして。うん。初見から8ヶ月くらいたって、何度も何度も反芻して考えてもまとまらないこの良さ。できるならもう一度あの空間に行きたい。


あと二つ。一生懸命選びだしてこの二つ。

「ANIMAL」に続く無言劇。岸田戯曲賞受賞後第1作にこれをもってきたということで話題になりました。衣食住、食欲、性欲、睡眠欲、みんな満たされているけど夢だけはないよ、という景色が切り取られて提示されているように感じました。提示されているのはある一部屋の様子なんですけどね。タイトルがなんともいえない物悲しさでした。
「愛の渦」に続く「恋の渦」も良かったのですが、後々までずしんときたのでこちらをあげました。

ペニノも「ダークマスター」「UNDERGROUND」で迷うところです。ダークマスターのなんともいえないすえた空間のわけのわからない人間たちの描写、イヤホンを利用した正に自分がマスターに支持されているかのような演出、ラストのびっくり。よかったです。
UNDERGROUNDは、いつものあのスズナリの空間があんなことになってしまっていた驚きで選びました。まず金網の中に生のジャズバンド。水をたたえた床に反響する金属音。無言劇だけど音が溢れていて。行われているのが「手術」という、個人的に見続けるのがつらいモチーフだったのにもかかわらずひきつけられ、その奇妙な空間に取り込まれていく感覚が貴重な体験でした。スズナリで事件が起こってるなーと思ったのです。

他、これまでにも観たことのある劇団では、

  • 夢の中に入ってしまったようで、そしてほのかに甘酸っぱい恋の香りのする五反田団の2本
  • いつものとおりであるようでどっかちがう、段取りきっちり映像とシンクロ、な少年王者舘の2本

初見の劇団(団体またはプロデュース公演)では

  • ブローティガンの世界をちょっと皮肉に脚色しなおしたスロウライダーの「Maggie」
  • なにがおかしいのやらわからないけどいつのまにか笑っちゃってるゆるゆるコメディのむっちりみえっぱり「表へどうぞ」
  • お染、もう青髭なんていわないよ絶対〜♪なほどお染がかっちょよかった「決闘!高田馬場
  • 脚本をもう読んでみたいG-upプロデュースの「散歩する侵略者

がよかったです。

2006年観た舞台