sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

読了

おやすみ、こわい夢を見ないように

おやすみ、こわい夢を見ないように

タイトルに反して、自分ではいかんともしがたい(または他人からどうすることもできない)苛立ち、憎しみ、焦燥感を扱った短編集でした。うらみつらみねたみそねみひがみ、と久しぶりに「肉体関係part2」をつぶやいて怖さをまぎらわせました。そう、怖かったよ。人生どこまでいっても、つかんだと思った幸せなんて実は幸せでもなんでもなくって、でもそんななかで一筋の光を見つけていくしかないじゃない、それでいいじゃない、て言われているような気がしました。最後はちょっぴり救われるようなエピソードが用意されているんですけどね。ああ人生ってたいへん、というのが素直な感想。途中で昨日のエントリの柴崎さんの本を読んでしまったのも、あまりに息苦しい短編を読んでしまった後にほっとしたかったから、てのもあったのです。息苦しさやぞくっとする怖さは「空中庭園」よりも強かった。
それにしても角田さんの書く既婚女性はどうしてここまでも苦しく悲しいのでしょうね。これまではあまり結婚をよしとしていない方だっていう印象があったのでこうなるのかしら、と思っていたんですが、今はご結婚されてるんですよねぇ。いえ、あけすけに見えながらも得体のしれないところも彼女の魅力だとは思いますが。