sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

読了

生きてるだけで、愛

生きてるだけで、愛

読了、といっても文芸誌「新潮」に掲載された表題作のみ、です。単行本をチラ見したところ、短編も収録されている様子でしたので。
あらすじも知らずに読んだので、いい歳したメンヘル女子のストーリーが最終的に恋愛に収束したのに驚きました。あれ、今、恋愛小説読んでたのか、と思ったりして。いえ、ずっと言ってきた「私に構え、手を抜くな」てな要求が達成されたので、ある意味、自己実現を果たした女性のお話なのかもしれませんが。冷たい偏見持ちな発言ではありますが、自称メンヘルな方を中心としたお話が苦手なのと、その唐突な昔の少女マンガ的(白馬の王子様的)収束に、ちょっと辟易としてしまったところがありました。浅いのではないかしら、というか……。

昨日の「週間ブックレビュー」を観て思ったのですが、本谷さんは「若くして」という肩書きが有効なうちにもうちょっと「業」を感じさせれくれるような深みのあるものをみせてほしいな、と思います。そうしないと、今はやたらメディアにとりあげられてますが、消費されるだけ消費されつくされてぽい、と捨てられそうな気がします。その前に「若くして」をとっぱらっても誰にも文句を言わせないような傑作が必要なのではないかなぁ。えらそうですが。なんか危なっかしいかんじがするの。ここのところのお芝居や小説をみていると、なんだか表面をなぞっている感というか、求められている本谷有希子をやっている感というか、あって。勝手にそう感じているだけかもしれませんが、ちょっと居心地が悪いのです。それだけです。