sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

ゆれる

観た人から忠告されてはいましたが、本当に激混みなのですね。観終わって13時台だったのですが、16時開始の回まで完売してました。劇場が小さいというのもあるでしょうがすごいな。朝の時点でチケット確保しておいてよかった。座布団席も立ち見も出てました。

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内容に触れてしまっていますのでたたみます。


作品は好みのタイプの映画でした。焦燥感と閉塞感と、それらによるどうしようもない悲しさがありました。最近観た他の作品を思い出したりしつつ*1
「兄弟」「自分」「地域」「仕事」という様々な枠の中で、自意識、愛情と嫉妬と憎悪、さらに目撃したはずの事実でさえも揺れ動く様子が描かれていて。タイトル、いいですね。ラスト近くの、8ミリフィルムの使い方、「奪う」「奪われる」のシークエンスは、ちょっと安易かつ唐突じゃないかと思わないでもなかったのですが、全体を通してみたら中心となる2人の内面についてはポイントがおさえてあったような気がします。というか、観客に「それで結局あのことは隠しておくわけ?」というポイントを提示するのが上手だったので、それらを回収するときに「お、触れてくれるか」と思わせてくれちゃうという、うん、してやられてました。書き出すと「他のキャラがあまりに浅いよ」とか思ったりしはじめちゃうな。もうやめよう。良い映画だと思ったよ、ということは書き留めておきたい。

香川さん、良い良いときいていたのですが、確かにすごかった。斜め後ろからの、ちょうどきれいに刈り込んだえりあしが写るショットが多くて、言葉少なく人あたりも良く、でもきっぱりとした拒絶や絶望をそこに表しているように感じて苦しくなりました。それから事件直後の橋の上での表情、法廷で弟が証言したときの表情、そしてラストの満面だけど決して突き抜けちゃいないあの笑顔。
オダジョもしょうもないよな、(きっとだからこそ)魅力的な弟くんでよかった。あの渾身の泣きはよかったじゃない。
キム兄弁護士の感情を逆撫でする追い詰め方や表情がよかったなー。蟹江さんも地味に堅実。かっちり。安藤玉恵さんの役はちょっと意外でした。そして隠れ巨乳(なんたる言い草)、真木よう子さん、かわいい。この役、真木さんだから納得できたかも。

しかし、兄弟姉妹だとどうしてもキャラ設定はこうなりますね。上はしっかり、下は飄々。ステロタイプだと思いますし、実際、自分の姉妹関係もそうだとも思いますが、逆の設定の作品も観てみたいような気も。……あ、「タッチ」?ちょっと違うか。あー、上がどうしようもなくて下はガリ勉、ってのなら結構ありそうか。

どっちにしろ、どうがんばったって下は上には勝てません。妹です。

*1:「つまらない人生」に「嫌われ松子」を、犯罪加害者・被害者の家族それぞれを描くところにtsumazuki no ishiの公演をそれぞれ思い出しました。