- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/09/29
- メディア: 単行本
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いやはや、なんだか痛くてなかなか読み進められませんでした。
30代子供なし夫婦を軸として、それぞれの親と兄弟夫婦を含めた「夫婦」「家族」を描いた一冊でした。が、この主軸となる夫婦、特に奥さんにずっと漂っている雰囲気が苦しい。諦め、ともちょっと違うな。「なんだかよろしくない、けどなにがよろしくないのか、どうやったらよろしくなくない状態にできるのか」という「雰囲気」。どうにもならないからあせったりもがいたり、ってそんな積極的なわけでもないんですよね。お話通じてある要素が「ゼロ」とか「空っぽ」で。
最後のほう、奥さんは、
- ダンナの部屋を「空っぽ」に戻したところでダンナの浮気相手の訪問をうけ、
- ダンナの浮気ですら「ゼロ」であることには違いないと感じつつ、
- 浮気相手からの口撃を「ゼロにゼロが積み重なっていく」と感じ、
- それをもっと味わいたいと思う。
そもそも奥さんは、昔持っていた社会的には役にたたない特殊能力を笑い飛ばした=ゼロにしたダンナと結婚してるんですよね……。
タイトルにある
「庭の桜」は実家の庭に父親が埋めたけれど、背が全く伸びず花も咲かせないわりに、毛虫だけはびっしりつく。
家にあるものだからそこにあるのは当たり前。ダンナいわく「ビジョン」。
「隣の犬」については、奥さんはよく坂の途中にいる隣の犬を見ている。ダンナは幼少の頃に一日で逃げられた自分の家の犬ではないかと、他の家の犬を眺めていた。
だけど家にいるものではなくて、いついなくなってもしょうがない。かわりに責任とかない。
むー。なんかモヤモヤするだけで消化できない。気になった部分を抜き出しただけですね、これじゃ。