sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

乱暴と待機 / 劇団、本谷有希子 @ シアターモリエール

ko-moto2005-04-16
よいです。思うところたくさん。だけど書くのは後ほど!、ってこれかいてる時点でかなり後ほど、てな日付なんですけど。切なく卑しくどろどろと。好みでした。「腑抜け〜」DVDは即刻予約。

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追記です。


前回公演でも感じたことですが、ホント、女性特有のいやらしさ、狡猾さあふれるお芝居でした。
以下、あんまりまとまってない&見た人意外はまったく分からない感想を。

馬渕さん演ずるナナセがねぇ・・・・・・。このキャラクターは極端だったとはいえ、こういう「昔なんかあってこうなったんだろうなぁ」と思わせる知り合いがいたもので、秀逸でした。

  • ナナセは学生時代にいじめにあっていた。そのトラウマで、自分と接する人間をイラつかせることを異常に恐れる。
  • 人をイラつかせないためだったら、友人の彼氏とでも求められれば寝てしまう(んで、いじめられる悪循環)。
  • その学生時代のいじめというのは、最初は「お前嫌い」と構うタイプのいじめだったが、教師による「嫌うな」という命令が原因で無視するタイプのいじめに。いじめ側の言い分としては「いないものは嫌いになれないから」

これ、「いじめ」というような最近のトラウマ事情(ってなんだ)の中ではとても分かりやすいモチーフを扱っているようでいるけど、その中でもかなりリアルなんじゃないのー?と思いまして。「いじめ経験により相手の機嫌をやたらうかがうコ」は結構いるし、「いじめやる側は結構優等生(先生の言うことは聞くよ!)」ってのが、すごいす。先生の言うことが、より残酷に働くことも多いものですし。
あと、これはごく個人的な印象だけなんですが、アズサを演じる吉本さんは明らかに青木さやかを踏襲してましたよね。私の青木さやかの第一印象って「おびえた目をしているなぁ」だったんです。悪口吐きながらも目がおびえているように見えて、それが(あ、これ失礼かもですけど)「いじめられたことあるんだろうなぁ」と思わせたんですよね。だから今回のナナセ側と、それに積極的(だけどちょっとおびえながら)関わっていくアズサ側と、両方にいじめ/怯えが感じられたのが非常に面白いところでした。

最も印象に残っているシーンは、アズサの彼との肉体関係がばれて、アズサに「自分のことしか考えてません、って言いなさいよ!」ってつめよられるシーン。「自分のことしか考えてません」って要求されるとおりに言ったのに、冷たい視線を投げてくるアズサに向かって、ナナセが「あれ、言い方が違うのかな?"自分のことしか考えてませんっ!"。・・・あれ、まだ違う? "自分のことしか考えてません・・・"」って数回言い方を変えるんです。う、わぁー。この期に及んでまだやるか。
まず最初にアズサの言う「自分のことしか考えてません」っていう台詞自体も、「あー、そうそう、それを言ってやりたかった」っていう台詞なのに、まだその他人を気遣ってる発言=自分のことしか考えてない発言が繰り返されるってのが。すげー狡猾。その後にバレる、お兄ちゃんの覗きもわざと覗かせていた、ってのとあわせて、策士よのぅという、ねー。かわいいふりしてあの娘、ってやつですよ。でもこの狡猾さって、多くの女性が持っている狡猾さだと思ってしまうのです。程度はあれど。意識しててもしてなくても。

これってラブストーリーだったんですかね。想いを伝えられない同士の共依存的ラブストーリーであったんでしょうか。あはー、さわやかに響いちゃいますね。最後のナナセの爆発あたりから急にラブなカンジが強調されてすすり泣きが聞こえてきたりしたんですが、あの「面倒くさい込み」発言はもうちょっとオブラートにつつまれてたらよかったのにな、と思います。だって「自分のことしか考えてません」を貫き通せた面倒くささをもつキャラクターなんだから、そこももうちょっと面倒くさく・・・・・・なんて、えらそうに贅沢な発言してみました。それ以外はラストの展開も含めて好みでした。

というわけで、「制服」を歌って〆ましょう。「失うとき初めてまぶしかったときを知るの〜♪」