sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

鈍獣 @ PARCO劇場

本日いってまいりました。
全く前情報をいれないようにして見に行ったため、話のジャンルすらわからず(ボクシングじゃなかったのね)鑑賞。
これまで私の見た宮藤官九郎作品と少し違う印象でした。
詳しくは後日追記します。

後日です。

いやはや、時間がたってからじわじわきてます。

東京ももう楽日すぎたのでネタバレしちゃうよ。





鈍獣 = 鈍いけもの」誰もが何もかもが鈍い獣であるし、鈍い獣になってっちゃうんだよ! ってな舞台だった、の、かな? 何とも言えない後味で、見終わった直後よりもじわじわと涌き出てくる「鈍獣感」。なぁんかイヤぁな感じ。
「残尿感(出すもんだし切れてないよなもどかしいカンジ)」をテーマにしているらしいクレイジーケンバンドとなんだかテーマが似ているのかもしれませんね、と思いました。

パンフレットでは「ホラー」と書かれていましたが、これ、ホラーなんすかね。ホラーというといわゆるお化けや血がでてくるものを思ってしまうんですが、この舞台は所謂ホラーよりもよっぽどぞっとしました。タイトル通り、自分の中からちょっと狂っていく感覚というか、まぁ鈍い重さ/痛みを感じるというか。
やっぱり舞台のクドカンはちょっとそういう「内的な薄ら恐ろしさ」を書くことが多いんでしょうか? 「熊沢パンキース」の時も、普通の人が少しずつ少しずつおかしくなっていく様が描かれていましたが。今回は、登場人物自体が狂ってるとは思わないんですが、状況や現象がおかしいことによって色んな感覚が鈍っていく( = 鈍い獣化する)様子が描き出されてました。
クドカンの、主にドラマでじんわりと感じる「各登場人物に感じるたまらん優しさ」は少し控えめ。「小ネタ」といわれがちな軽妙なセリフの応酬も控えめだったかな。キオスクには大爆笑でしたけど。

ストーリー構成は、現在 → 過去 → そのまま現在まで語られる、という構成。 ……なんとも分かりづらい説明を書いちゃったよ。こういうの好みです。しずかさんのかけた電話が過去のはずのシーンに出てきたりした時に、この構成は予測ついてもいいんですが、それこそ鈍くて、例のダンボールが出てきた時に「うわ、あのダンボール……」って思いました。そんでその段階においてもしずかさんと凸川先生が対面するとは思ってなかったす。

最後の「覚えてないわ」は私は絶賛しちゃう。それまでもずっと発してきた「もう終わり?」「飲まなきゃやってらんないよ〜」「覚えてないわ」が、最後の状況で、「ホラー」という捉え方にしても「人間関係」という捉え方にしても、ぞくっとする効果を出していたと思います。


出演者について :

生瀬さん、古田さん、池田さん。
もう大期待でいって、大満足で帰ってこさせてもらいました。生瀬さんはもう、腰ぎんちゃくっていいますか、小物っぷりが堂にいってて、か、かっちょよい。
古田さんは、なんか、私、ファンでしょ? ってくらいよく舞台を見にいってます。相変わらずの安定感(体型じゃないよ)。楽しかった。
池田さんは「また吐いてる……」。前回見た「はたらくおとこ」で堪能しまくらせていただいた吐き演技がさすがでした。MR.オクレのような、ハイウエストパンツにシャツをイン。白い靴下に七三。そして動きは劇団ひとり。すばらしい。

西田さん、野波さん、乙葉さん。
一番乙葉さんを心配しつつ見にいったんですが、地? ってカンジの(それも失礼)かわいこぶりっこキャラで楽しく見させてもらいました。やっぱかわいいなぁ。たまに毒を吐く時の落差がまた。
野波さんはドスをきかせるのに大変、という印象でした。ごめんなさい、あまり印象にのこってないです。
西田さんはきりりとかわいらしかったです。まぁ……もうちょっと凸川さんに対する気持ちが感じられるとよかったかな、とは思いますが。

いずれにせよ「ねずみの三銃士」今後も続くなら見に行かせてよー! と思わせてくれる内容でした。大満足。