sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

はたらくおとこ / 阿佐ヶ谷スパイダース @ 本多劇場

昼の部観劇。
水曜日に急に思い立って取ったチケットのため、ホントに後ろのホントのはじっこで見ていました。が、見て良かったです。

~~~(ここは阿佐ヶ谷スパイダースのサイトから引用)~~~
北の小さな村に建つ、小さな潰れた工場。そこに未だ出入りする工員たちがいた。理想を求め脱サラして挑んだりんご栽培に失敗し、さらにりんごを包むスチロール、いわゆるりんごパッキン工場にも失敗した工員たち。しかし未だ諦め切れず、何をしていいかもわからず、彼らはずうっとそこにいた。そんな中、一人の消えた工員がとってきた小仕事。トラックの積荷をどこかに捨てるだけで大金が手に入る仕事だった。しかし、積荷には思いも寄らない代物が積まれていて…。
社会的に最低かつ人間的にも余りにもちっぽけ男たちが送る職業スペクタクル。果たして奴らは最後に何を手にするのか。阿佐ヶ谷スパイダース渾身の最新作!
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以下、ネタバレ感想です。




どんどんと何故か追い詰められていく男達の様子が描き出されていました。全体的に重いトーンのストーリーの中、軽妙な言葉のやりとりが盛り込まれていることによって、息苦しさはやや緩和されていました。

ストーリーについては、「死の匂いがし始めた時の男達(ちょっと狂気も含む?)という点で、熊沢パンキース(大人計画 ウーマンリブ)を、そして最後のほうで明らかになった「加害者と被害者の関わり」という点で、先日見た映画「息子のまなざし」を想いだしながら見ていました。最後、「おいおい、夢オチかよ……」と一瞬
思ってしまいましたが、あそこが救いになってはいるんですよね。あそこがないと、夏目はずっと、茅ヶ崎が自分の立ち位置を知っていることを知らずに、そして赦しを得られずに亡くなってしまう展開ですもんね。ここってきっと評価の分かれるところなんだと思いますがあれはあれでよかったんじゃないかと思いました。
妻と子供が死んだ時の苦い林檎の味と、皆が悲しみの中で唄う「ガラスの林檎」。この公演のポスターは真っ白な背景に真っ赤な林檎が真中にぽつんとひとつ置かれているものでした。

最後のほう、農薬やサリン、産業廃棄物(ですよね、あれ)を食べるシーン、と皆さんの熱演も手伝って「ぅえーぷ」という気持ちにはなりました。吐くシーン自体多かったですし。もうちょっと短くてもいいかなーとは思いましたが、「妻が買ってきてくれた林檎の苦さ」はこちらまで伝わってきてました。ぅー、でも思い出しても
ちょっと気分悪くなります。

映画「リアリズムの宿」はぜひ見に行きたいです。