sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

透明人間の蒸気

ようやく書く。ひっぱった割にたいしたコト書けませんが。

以下、思いっきりネタバレします。

全体的な印象。
私は野田さんの舞台はオイルに続いて2回目だったんですが、なんだか似ていたような。場所設定もオイルが島根(出雲)で今回は鳥取砂丘ですし。でも、この作品は13年前の再演なんですよね。こちらをベースにオイルが書かれたのかなぁ。
お話自体は面白く見ていたのですが、ちょっと途中から(私の頭の中が)混乱してきてしまいましたね。今回も前情報を全くいれずに見に行ったのですが、ラブストーリーとは思わず、特殊なシチュエーションの男女のお話を世界情勢にからめて語っている、という印象を受けました。ラストシーンで「あ、ロミオとジュリエットか」と思ったくらいの鈍感さで見てました。脚本見ると、初演では最初からロミオとジュリエットを思い出させる言葉が掲示されていたみたいですね。
タイトルの「透明人間の蒸気」。話題の長いキスシーンで「蒸気」という言葉が用いられているんですが、このキスでケラに流れ込んだ「蒸気」ってなんでしょう。「愛」なんですか? 私は盲目の「ケラ」が知ることが出来なくて、詐欺師の透アキラの知ってる、ちょっとした悪事や処世術とかかなぁ、と思ってしまいました。このお芝居では「言霊」もテーマだったんだろうとは思いますが、あまり「愛」とか「言霊」が流れ込んだようには思えなかったんですよね……。これは私の見かたの問題かなと思っているので、購入した脚本を熟読した後は変わるかもしれませんが。
「人は足跡をつけるためではなく、消すために砂丘に来る」というのは沁みるセリフですね。

演出について。
私は2階席から見ていたんですが(ちなみにA席ってライブ、舞台含めて初めてだったかも)、実はラッキーだったかも?と思いました。恐らく20mほどあるのでは?というほどの奥行きのステージに、砂丘であることをあらわすためのダンボールが敷かれて、そこに出演者の足跡がつくんですね。それが下からじゃみにくいんじゃないかなぁ、と。あと、舞台奥から駆け出してきて、駆け抜けて行く様子や、海を表す布がはためく様子が上からだとよく見えたので。役者さんの表情は読み取れないんですが、スケールをより感じることができたように思い、満足でした。


役者さん。

宮沢りえさん。なんというかすごいピュアでティンカーベルのよう。みずみずしいというか、透明感といいますか。設定が砂丘なだけに、オアシスのようでした。
細いからだがよく動くし、細いようでいて聞き取りやすい声。キラキラしてました。

阿部サダヲさん。は、大好きなので、もうサダヲはサダヲでいてくれれば! と。冷静に見てないです。客席に「拍手なんていらねぇ!」っていうあたりがらしくて良かった。あとは野田さんとの腹筋(?)バトルね。

六平さん。一度舞台で見たいと思っていたのでうれしかったです。どっしり安定感。

高橋由美子さん。声の通りがすばらしかったです。

秋山奈津子さん。色っぽいんだわぁ。スタイルいいんですね。今回はあまりメインではない役どころでしたが、ドライブインカリフォルニアに期待しまくってます。

……とまとまりもなくつらつら書いちゃいました。いつお腹が痛くなるかとちょっとひやひやしてたんですが、この舞台の間は落ち着いてみることができました。オイルと合わせて見なおしたいなぁと思いました。