sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

ソーシャル・ネットワーク

しょっぱなのシーンからこれでもか、な言葉の応酬。ヒアリングなんて無理無理、とはなからあきらめてしまうような早口、そしてそれがほぼ全員。ものすごい圧巻でした。とくに序盤のFacebookが生まれるまでの高揚感には、この早口が一役買っているに違いないなーて思う。

そして、その早口でつめこんだ言葉の応酬であるにも関わらず、「この脚本はずいぶんと引き算だなー」って感じました。
だって。後半のマークはほとんど話してないんじゃないかしら。後半、ふと「あっ、主役はこのひと」って確認する作業しましたもの。それくらい後半のマークは必要最小限しか話してなかったように思います*1
とくに言葉を使って彼の孤独をことさらに強調してない。あっ、と思ったのはあのビール投げちゃうシーンくらいだったかな*2

「YOU DON'T GET TO 500MILLION FRIENDS WITHOUT MAKING A FEW ENEMIES」、日本のポスターでは「天才 裏切り者 危ない奴 億万長者」。これを見たときの「センチメンタルな方向に向かうんだろうな」という予想はいい形で裏切られました。

こちら(http://www.thesocialnetwork-movie.com/)で脚本をダウンロードしました。到底訳しきれているはずもない言葉の確認と、あとは英語のお勉強のため。

あと、空中キャンプさんのエントリみるまで、主役の彼が去年ほんとに面白かった「ゾンビランド」の彼だということにまったく気付いてませんでした。驚き。自分にも主役の彼にも驚き。めずらしく俳優つながりで「イカとクジラ」観てみようかな、という気になってます。


観ながら思ってた至極個人的な感想。これでも昔はソフト開発者のはしくれだったので、観ていて「ああ、こういう人いるよね……」と登場人物それぞれを眺めながら思ってました。特にマークは、入社年数が浅い時期に開発リーダだったプロフェッショナルな方を思い出しました。客先に提供するドキュメントのレビューを頼みにコピーを持っていくと、一瞥ののちに「なにこれ」の一言で帰ってくる(やりなおし)。納期直前の改善要望に「時間的に無理です」と言っても、一言も発さないうちにメンバ全員が対応に追われるようになる、そんなリーダーさんでした。厳しい人だったけれど、なんだかんだ仕事の根っこがあの人の考え方に基づいている感覚がいまもあります。開発担当者に「納期と品質」を盾に言い訳されると「それをやりきるのがあなたがた開発のおしごとです!」てキレ気味になるもの。
あと、共同開発者を選ぶためにゲームやって盛り上がっているシーン。新しいマシンが届いたら目をキラキラさせていじっている同僚を見て「ああ、わたしはずっと開発はできないな」と初めて感じたことを思い出していました。盛り上がっているふりをしながら相当冷やかに光景を眺めていたあの感覚。そしてそれがあたっていたから余計に印象に残っているのです。

*1:あくまでも印象です

*2:ラストシーンはちょっと直接的に感じて「あれっ」てなってしまいましたけども