sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

読了

夕子ちゃんの近道

夕子ちゃんの近道

ああ、好き……。
長嶋作品が好きすぎて、一気に読んじゃいけない気がしてちょこちょこ読むようにしてるんですが、どれもこれもあったかさと冷静さの具合がちょうど良くてたまらない。またしても作品の世界の中で過ごしてみたい、と思わされました。パソコン金色に塗りたいよ。突飛なキャラクターも大きな事件もないのに(から?)やたら魅力的で読みながらにこにこしてしまう。化粧用具にキャラクターあてはめちゃうくだりは、電車の中で顔が笑っちゃってるのがよく分かった。

第1回大江健三郎賞受賞作です。「ねたあとに」のエピソード思い出したりしました。

かみつく二人

かみつく二人

お二人のラジオ番組のトークを掲載した「二人」シリーズ第3弾。ほんとおっかしい、この二人。
印象に残ったエピソードふたつ。

  • 2人だと「対談」、3人だと「鼎談」、4人だと「座談」って初めて知った。なるほど「博士の異常な鼎談」は3人だわ……、て最近4人じゃん!座談じゃん!とかつっこみつつ。
  • 表面張力で保っていた水が、最後の小さな一滴でコップからあふれてしまう話につい考え込みました。これまで相手に対して放ってきた小さな一言がたまりにたまって、最後の一言で相手が完全に怒ってしまう。こっちからすればいつもと同じことしているだけなのになんで怒るの?という問いに対する回答。自分から離れていこうとしている人にすがる、って行為について。有名人の思いっきりすがったエピソードとか、すがりが高じて犯罪になってしまったケースはよく目にする気がするけど、すがった末にその人が戻ってくるケースって多いのかしら。私はもう離れていこうとしていることを感づいた/話された時点でアウトだと思ってしまうんです。「覆水盆に帰らず」というヤツ。このコップからあふれる一滴は、「覆水」にいたるまでの過程の話だと思ってしまう。だから行為の大小に関わらず、いくらすがったところで手遅れ、もう元には戻らないんじゃないの、と思っちゃう。怒りの大小にもよるのかもしれないけれど。

あっ、楽しい本だったのに思考が暗いばっかりにヘンな記述になってしまった。さくさくと楽しみながら読める本ですよ。

だれでも一度は、処女だった。 (よりみちパン!セ)

だれでも一度は、処女だった。 (よりみちパン!セ)

あんまり楽しめなかったです。というより、本から漂う負のパワーに気押されてしまったというか。たくさんの方の処女喪失体験がつづられているんですが、立場は異なれど、ほとんどの人が「こんなもんか」「あっけない」とか、どこか後悔とかちょっとした虚勢が含まれるような意見で。実際そうなんだからしょうがないのかもしれないですが、読み続けるのがつらかったです。
あといくつか触れてきて、どうやら辛酸なめ子さんが苦手らしいということに気付きました。彼女のコンプレックス、いくらおもしろおかしく装飾したところで、私には底にあるだろうコンプレックスの重さそのものとしてしか伝わってこないみたい。この本には少ししか関わってらっしゃらないですけれど。

片眼の猿 One‐eyed monkeys

片眼の猿 One‐eyed monkeys

あれ?道尾さん作品好きなんですけど、これはあんまり楽しめなかったです。なん、か、キャラクターや展開がやたらベタだったような。女子とのほんのりラブ的要素が特に。最近触れたこれ以外の作品で、女子がステロタイプかつ男子の夢が含まれまくってる描かれ方をしているものが多かったため、過敏になってしまっているんでしょう。