sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

アントン、猫、クリ / キレなかった14才♥りたーんず @ こまばアゴラ劇場

作・演出:篠田千明(快快)
出演:カワムラアツノリ(初期型) 中村真生(青年団

タイトル♥はうまく表示されるんだろか……。ハートマークです。6名中5名が1982年生まれという若い演出家たちによる企画。事前に演出家たちが合宿している様子がサイトで報告されていたりして(中継まであったり)、作り手が楽しんでいる様子が伝わってくる期待の企画です。企画自体の初日の今日、観てきました。

(追記)
「1982年生まれ」は神戸市須磨区のサカキバラ事件の犯人(当時14歳)と同い年なんですね。それでこのタイトルになっているそうです。篠田さんはトークで「キレる14歳」と世代としてひとくくりにされたことに対しては怒りよりは単に違和感を感じていた、とのこと。でもあの事件のときに、「自分」と「世間」というものが結びついた感覚はあったそう。

これから観る方には何がネタバレになるか分からないのでたたんでおきます。


で、作品については、んん。つまらなくはなかったのですが、どこかでみたことあるような表現がたくさんあって、「どこで観たんだっけ?」と思い出そうとしたり、思い出せた作品とはつい比較してしまったりしてしまってあまり楽しめませんでした。「どこかで観たことある表現がたくさん」については文句を言うつもりはないです。組み合わせの絶妙さで素晴らしい作品になってるものを観たことはたくさんあると思ってます。お芝居も音楽も絵も。でも今日のはちょっと要素要素が悪目立ちして見えたようです。「ああ、こういうこと狙ってんのかね」とつい穿って観てしまうというか。
……そろそろ私のモードが、チェル作品が好きすぎてやたら読んだり観たりしてしまった「身体表現」「リアル」といったものに飽きてきてしまっていたのかもしれません。ひどい言い草ですけど。アフタートークで篠田さんが語っていた「言葉の分解」や「リズム中心の発音(?発声?かな?)」は面白い試みだし、そういうの好きだと思ったんですけどねぇ。あ!もしかして「分解して再構築」という形態に、面白すぎたtoiの「反復かつ連続」を思い出してつい比べてしまったのかも。中屋敷さん(だったかな)が仰ってた「前半のちょっとギクシャクしているほうが好きだった」という意見には思いっきり同意。気持いいグルーヴは前半の方に感じられました。
本日初日ですし、ほんっとに直前に今日の上演の形になったそうなので、今後回を重ねたらかなり違ったものになってくるんだろうな、と思います。