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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

昭和島ウォーカー / PARCO & THE GLOBE TOKYO Present @ 東京グローブ座

作・演出:上田 誠

出演:井ノ原快彦/京野ことみ/松本まりか/粟根まこと/福田転球/中山祐一朗
石田剛太/酒井善史/諏訪雅/土佐和成/中川晴樹/永野宗典/本多力

工場のお話。
面白かったです。
面白かったんですが、自分の職業病が出まくってしまいました。
細かいところが気になってしまって、作品として素直に観ることが難しかったです。
大学で生産管理などを学び、工場に行くことの多い仕事をしているので。


当たり前ですが、やはり「理系演劇」といわれていても、技術者の理想としての「理系」の頭を使って描かれた内容でした。決してビジネスとしての「理系」ではないカンジ。工場、という現場を選んでいるし、親会社(委託元の会社)は出てくるんですけどね。たぶん、みんながやたらこだわる「二足歩行」に対するメリットが感じられなかったんだなと思います。なんでそんなに二足歩行させたいの?って思いながら観ていましたし*1。舞台設定が未来になっているからいいのかもしれませんが、ロボットに二足歩行を求める人は今現在はいないと思うんだ。特に産業用ロボットの場合は*2
あと、ロボット三原則が工場に掲げられてるのも奇妙にうつりました。しかも生産現場には必要のないアシモフの「ロボット三原則」でしたし。うーんうーんうーん。

いえ、こういうのを気にするほうがおかしいのです。お芝居なんだからフィクションとしての設定の中で楽しめばよいのです。実際それを思って、期待半分不安半分で臨んだのですが……。やっぱりつい細かいところ気にしちゃった。もったいない観方をしてしちゃったな。

そういうところとっぱらったら面白かったと思います。
できればヨーロッパ企画規模での公演で観たいものです。

(追記)
2004年の公演「インテル入ってない」のバージョンアップ作品だったのですね。
http://homepage1.nifty.com/mneko/play/HA/20081103s1.htm
私は未見ですが、確かに「アサヒロボット」だし、舞台装置もそれっぽい。あまり前情報を仕入れないようにしているせいかもしれませんが、全くの新作と思ってました。

あと観ている間にずっと思っていたのはイノッチの心境。ヨーロッパ企画の作品を観に来ていた、という目撃談はこれまでよく耳にしてました。私はプロフェッショナルな舞台に立ちたい、という思いが何に対してもほんっっっとにないので、「舞台を観に来て“出たい”と思う」気持ちをおそらく理解できてないだろうと思うのです。だものですから、イノッチのラブコールによって実現したこの公演、ご本人はどんな気持ちで今目の前であれこれやってらっしゃるのかしら、ってずっと思ってみてました。
だって憧れの人とあれこれ、だなんてもう自分だったら大変だもの。多分ゴハン食べるのも一苦労、くらいに大変だ。おやつも喉を通らない、くらいに大変だ。一緒にものを作るだなんて遠くて遠くてもう。
あ、でもこの公演の場合は双方ともそういう感覚か。

*1:自販機に助けられたエピソードでは納得できなかった

*2:エンタテインメント目的の場合は別でしょうが。この作品で委託されて作っていたのは明らかに産業用ロボットの部品だったと思う