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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

日本昔ばなしのダンス / 井出茂太、康本雅子 @ 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール

ko-moto2008-01-19

http://www.saf.or.jp/education/geijyutu/2008/d0119.html

日本昔ばなしをダンスでやっちゃおう、という企画。今回は井出さんと康本さん。「かみなりむすめ」は井出さん、「さんねんねたろう」は康本さんの振り付けで、ダンスは両作品ともお二人で。会場にはお子様連れが多い多い。パンフレットとしてはさまれていたそれぞれのお話のあらすじには全ての漢字に読み仮名がふってあったりして。
どちらもあらすじをパンフレットで示しただけだったので、観ながらも「これっておこさまたちにはどう見えるのかしら、おもしろいのかしら」って思ってたんです。2作品の間の休憩のときに後ろのお父さんがおこさまに「今からやるお話はね、」って説明してたりしましたし。でもその説明されたいたおこさま本人が、公演が終わった瞬間にすっごいいい笑顔で「おもしろかったー!またきたいー!」って叫んでいて、振り返ったらそのコの周りにいる子供たちみんなすっごくわくわくした目をしてるのね。これも含めて今日はいいもの観たよ、って思いました。
そして「ここまで企画意図とぴったり合った結果が得られるのもすごいことだ」と思いながら会場を後にしました。大人になっちまった。

  • 「かみなりむすめ」

井出さん振り付け。井出さんご本人のダンスを初めて観るってことに始まってから気づきました。軽やかな巨体。いわゆる鬼っこ髪型で登場した康本さんが下界に下りてきたらじゃりんこチエスタイルになってて、それがまたえらくかわいくて参りました。ダンスのことはほとんど知らない私ですが、他の方の振り付けで踊る康本さんを観ると違いが分かりますな〜。井出さんのは康本さん作品からご本人の手足の癖のような動作を取り除いて、一般的な「人がついしてしまいがちな動作」を意識的に盛り込んだイメージ。エンタテインメントを考えながら動作を注入してるんでしょうなー。実はあまり井出さんの振り付け好きじゃなかったんですけど*1、面白く観ました。
あらすじに書いてあったけど、巨大フックがホントに出てくると思わなくて、康本さんの体の軽やかさと合わせてあのシーンは素敵なしあがりになってたと思います。あと、途中の演出で入る康本さんの満面の笑顔にびっくりした。無表情、あるいはちょっと怒り気味?な表情で踊るのしか観たことなかったんです。

  • 「さんねんねたろう」

まず衣装がかわいくて。二人いるけど二人ともねたろうの設定?着ているはっぴの背中には「ね*2」って書いてあるんですが、康本さんの背中の「ね」は鏡文字になっていて。よく観ると、袖口の色も、左右違う靴下の色も、井出さんと康本さんの衣装は左右逆になっていて。そして動きも、井出さんが動けば康本さんが寝てたり、その逆だったり、最終的には二人でふとんをとりあったりして。ふとんをロールケーキみたくぐるぐると自分の体に巻きつけて転がっては*3、相手がそれをほどいて自分がまるまったりしてるところ、おこさまたちに大ウケでした。
通路を挟んで傾斜が始めるところの1番前の席だったんですが、この作品では井出さんも康本さんもこの通路に出てくるので、目の前で踊られました。ホント、足をちょっと出したら蹴っちゃうよね、て距離。井出さんには会釈みたいなパフォーマンスをされてしまいました。人生初いじられ。
始まる前にスタッフさんが「それなあに?電気系のしかけにしては接続してないじゃないですか」という準備をしてらしたんですが、それが発動した瞬間に「あーそういうこと!」と思いました。そしてそれと同時に会場が明らかに沸いてました。うーん、よかった。楽しかった。

舞台写真家の方のブログ。写真がのってて雰囲気が分かります。
http://de-tokio.way-nifty.com/gekijou/2008/01/at_82d4.html

この企画、前回は近藤良平さんと伊藤千枝さんだったそうで。次回のチラシにもこのお二人のお名前が掲載されてて、観たいかも観たいかも、って思ってよく観たら名古屋公演でした。うーん残念。名古屋方面の方はぜひ。

*1:特に覚えているのは「仮想敵国」と「死ぬまでの短い時間」。上記で書いたことは自分にとっては逆の作用として働いてしまうこともあって、この2つの作品では、その「自然な動作の注入」に対して「自然な動作を注入してます!!」というアピールを感じてしまって面白く観ることができなかったのです。

*2:丸で囲んである「ね」

*3:「かーしーわーもーちー」ってやつです<時効警察で岩松さんがやってた