sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

読了

ハルカ・エイティ

ハルカ・エイティ

いつだったか直木賞候補になったよね、と、図書館でみかけて借りてきました。80歳のハルカさんの生涯が描かれています。ハルカさんが全編、はんなりとした関西弁を使っているのが心地よいです。

そして。ホントにこの作者の方は「女である幸せ」を「女性性」を中心に考え続けている方なんだなぁ。ハルカさんの生涯をハルカの目線で描いている途中で、なにもかもしっている作者の視点で入るモノローグ的なところに、「女であること」「女性としての(性的な)喜び」がルサンチマンたっぷりな描写で鮮やかに書いていらっしゃる。なんだーこれは。ある魅力的な女性の、ややほのぼのとした生活を描いている中に、時々鋭い観察眼が入り込むのと、そのバランスがほどよいのとで、ずんずん読み進めました。
ともすれば身内自慢ぽい(実在の人物がモデルだそうです)お話ではありますが、そのあたりが鼻につかなければ興味深く読めるのではないでしょうか。