sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

ワンマン・ショー / M&Oplays+PPPPプロデュース @ シアタートラム

作・演出:倉持裕
出演:
小島聖 / 水野美紀 / 長谷川朝晴 / 小林高鹿 / ぼくもとさきこ / 玉置孝匡 / 内田慈 / 近藤智行 / 吉川純広

ko-moto2007-06-16
プロデュース公演だけど、再演ということもあり、これはペンギンプルペイルパイルズの公演、という認識でいきました。第48回岸田戯曲賞受賞作品。私がPPPPを観始めたのは「246番街の雰囲気」から*1なので、その2個前の作品だったのですね。出版されている戯曲本は読みました。だもので、「わかりにくい作品である」「けれどあれがどう演出されるのかは楽しみすぎる」という期待を胸に出かけました。はしか休み明け、2週間ぶりの外出。

結果、すっごくおもしろかった。やっぱりわからないんです。時系列からキャラクターの存在から、何もかも確かなものはないんだけど、ぐいぐいひきつけられる内容。ホンからぼんやりと想像していたステージの姿を軽やかに裏切られて心地よかったです。終りのほうでは「ワンマンショー」というタイトルをかみ締めつつ観ました。また、この公演のチラシを、公演を観終わった後に見ると「なるほどね」となります。組み合わさった色とりどりの立方体に各登場人物がだまし絵のように座っているチラシ。メビウスの輪の上にいるような、エッシャーのだまし絵の中にいるような。

舞台セットが幾何学的で「理系演劇」という言葉を思い出していました。「理系演劇」といえばヨーロッパ企画だけれども*2ヨーロッパ企画の伏線をかちりかちりとはめていくという意味での理系という扱いに対して、PPPPの「空間」と「間」を計算している演出と、単なる(ていうのもどうかと思うけど)シュールな「カンジ」ではなく、かっちりはまったように見せかけて実はまったくかっちりとなんてはまっていない、という絶妙で計算しつくされたストーリー回しはまた違った意味で理系なんじゃないかと思ったりしました。


相変わらずサケのサントラはステキで。初演の音楽をそのまま使ったらしいです。「Green Land」にあわせてスパニッシュ風*3の曲を歌い踊る高鹿センセイ。珍しくパンフレットを購入してみたら、PPPPから倉持裕氏、サケから星野源田中馨という対談が行われていて、3メガネかつ3白シャツにまず笑いました。PPPPとサケの出会いから最近までについて話していて、PPPP公演の音楽担当としてこれまでに印象に残っていることだとか語られてて面白かった。ぼくちゃん、源ちゃんにそんな手厳しいことを……!でも正直そう思う……(問題発言)!あ、そんでですね、その中でPPPPの公演のホンをもらって音楽を制作することについても語られていて。倉持さんが「ぼくたちの公演用に作られた音がサケの音楽としてアルバムに収録されるのは嬉しい」と言っていたので、この初演が2003年の公演で「Green Land」が作られたのか*4、と思うと感慨深いというか、意外と最近のことなんだな、というか。私がサケを知ったときにはPPPPとのお仕事はかなりやってたよねーという印象だったんだけど、ね。「一時期サケの人気ががーっといって、PPPPのオンラインショップでサケのサントラばっかり売れてた」というエピソードとかおもしろかった。
しょっぱなの倉持さんのコメントといい、読み物として面白いパンフでした。役者さんファンの方にはオススメしないけれど、倉持さんおよびサケファンには興味深い作りでしたよ。

あと、全くこの公演とは関係ないけど、「ワンマンショー」って聞くとどうしてもジュリーが思い浮かんじゃうのをどうにかしたい。さらに去年のRIJFで民生が「マシュマロ」の「ああー」ってところで観客がばーて手をあげたところでおもむろに「出て行ってくれぇ〜」て歌いだしたところまで思い出してしまう今日この頃です。ジュリーも民生もこの作品のイメージと全然違う。

*1:その前の「スマイル・ザ・スマッシャー」を観ようかと当日にスズナリ前をマチネソワレ間にうろうろしていたときに、いきなり高鹿氏が現われてびびって逃げたのですよね……。観ときゃよかったよ。

*2:そんなに「理系?」と思うけれども世間的には言われているように思ってます。

*3:と思ったらPPPPサントラのライナーノーツでは「イタリア風」って書いてあった

*4:PPPPサントラでは「青井の好きな曲」てタイトルです