sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

LUNACY

精神病院で母親を亡くし、悪夢にうなされるジャン・ベルロ
生き埋めにされた母親と同じカタレプシー(硬直症)の症状をもつ侯爵
神を冒涜し、快楽を追及する礼拝堂での禁断の儀式
拘束服も電気ショックもない自由な精神病院
聖女のような微笑を放つ、虚言癖の淫売女、シャルロット
侯爵に導かれるままベルロが目撃した世界とは…。

公式サイトより

福岡・親富孝通りシネテリエ天神にて。そうそう、「おやふこうどおり」、親「不」孝じゃなくて親「富」孝通りなのね。昔っからそうでした?違ったような気がするんだけど。

さて、お名前はよく聞いていたヤン・シュヴァンクマイエルの新作。観るのは初めてです。外に掲示してあったチラシに「ホラー」って書いてあったので、どんだけエグいんだろうグロいのかなぁ、って上映15分前まで観るかどうか悩んだんですが、夜一人で暇だし、怪しげな映画館に入ってみたいし、って気持ちで行ってみました。
らば、やー、観てよかった。ぐいぐい引き込まれましたし、これを書いている数日後もどよんと勝手に思い出させられるカンジ。
主人公も含めて病んでる人ばかりが出てきて、だからこそその奇妙な風景が、主人公の病んだ視線から見たからこその風景なのか現実の風景なのか一瞬迷ったりしました(映画の中では現実に起こっていることとして当たり前のように描かれているのですが)。
展開やオチは途中からはかなり読めてしまう作りでしたが、そんなことどうでもいいと思わされました。冒頭に監督自身が語ったコメントに全てが集約されていたように感じつつ、こういう手法でこういう光景を見せられるとただただ「うわぁ」て嘆息してしまいます。自由とか正義とか、ホントわからんものです。正義をふりかざす教科書的な考え方や、一般的な「正義」の盲信することの怖さ。最近のニュースとか、身の回りの小さな事件とかでも時々ぞくっとすることがありますし。
映画の中で描かれている人を管理する2つの方法、その悪いところだけを集めたのが現実社会というものなのだそうです。いわゆるエグくグロい描写よりもよっぽど恐ろしい背筋に来る戦慄。

よく語られているクレイアニメ(実写版)なみせ方は、この作品の根っこに横たわっている空恐ろしさを象徴しているようでもあり、すこし緩和してくれているようでもあり。肉の呼吸を眺めていると、人間、本来グロテスクよな、と思わされます。