sugar-free

「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

開放弦 / パルコ-リコモーションプレゼンツ @ パルコ劇場

マチネ。
明日が楽日ですがオススメです。素晴らしく沁みました。

作 :倉持裕
演出: G2
音楽: 渡辺香津美
出演: 大倉孝二 水野美紀 京野ことみ 丸山智己 伊藤正之 犬山イヌコ 河原雅彦

ペンギンプルペイルパイルズの倉持さんのホンがパルコ劇場に。どうなるのか全く想像つかないわ、と劇場に向かいました。
最後まで観てみれば、なんともまっすぐで透き通ったラブストーリー。意外。そしてなんて静かで一生懸命で素敵な芝居なのでしょう。観終わった後にじわじわと自分の中にも通じる感情や出来事が染み出してきて、それを(かみ締めるでもなく)舌の上で転がしながら味わうような不思議な感覚を味わいました。
ストリーも演出も、派手さはないのですが(ないからこそ)上質な大人向けの作品だったように思います。ああ沁みた。

倉持さん独特の分かりにくさや世界が異なっているような不思議キャラクターが出てくるわけでもなく、「おっとパルコ向け」、と最初に思いました。でもいつものとおり、やや不親切なキャラクターやシチュエーションの見せ方。説明台詞がないんですよね。今回はそれがものすごく良い方向に作用していたように思います。休憩後の展開で、それまでに雑談として語られていたエピソードが、観客側の感動と同じようにじわじわと現れてきて、最後にかちりとはまる。登場人物が全員が全員、不器用だし、全員が全員、自分の気持ちをあえて語ったりはしません。だからこそ、ラストシーン、途中と変わらず言葉少ないラストシーンで、登場人物みんなのひそやかに持っていた気持ちが一度に漏れ出し*1たように感じました。

演出も派手さはなく、ゆったりとした大きな動きでなされていました。風に舞うシーツにあわせて暗転し、ギターのつまびきが聴こえたところ、よかったなぁ。

タイトルが秀逸。

大事なヒトとか
大事なモノとか
大事なコトとか
見えてます?
(チラシキャッチコピー)

*1:それでも「流れ」になるほど大きくもなく