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「おあずけとなった今年の夏のいい日を、きっと俺達はとり返そうぜ」

演技者 第4回

特別編も終わったというのにこのタイミングで書くのだ。

第3回目に行われた数々の「裏切り」行為に続いて、今回の前半も裏切りだらけ。主に主役裕一の。そして最後のブチ切れ大会。
このお話のテーマ、「裏切り」について、公式では以下のような説明がなされてます。

男女間でいくら信頼関係を築こうとも、人は絶対裏切る。 しかも、どうということのないきっかけで、なし崩し的に「ま、いっか」という感じで。 その「ま、いっか」の中に、人間の本質が隠れている。

どうりで。テーマが「裏切り」ということは知っていたのですが、こういうコメントが書かれていたことは見終わってから知りました。「裏切り」というよりも、登場人物がどうにも頭で、というより体で反応して動いていて、その結果が裏切り行為になってしまっているように見えるなぁ、と思いつつ見ていたのです。「裏切り」という言葉じゃ重過ぎるほどのものすごく簡単な手のひら返し。最終回の久保さんの逆ギレとか、裕一が紀子にすがるのだって「手のひら返し」という意味では「裏切り」なわけで。
そんな風に簡単に行われる「裏切り行為」というのは、やる側は大して気にしていない(覚えていないことすら)けど、やられた側には強烈な印象を残す、という点も少し見られましたね。アンタもたいがいだぜ、てな裕一が最後に「(杉山に対して)おらの女をとったという罪悪感からか」って言っちゃうあたりが。

それと同時に感じたのが、それほどまでに簡単に行われてしまう「裏切り行為」への罪悪感について。これ、まったく感じていないわけではないんじゃないかなぁと思いました。きっと、「裏切ったよね」といわれたら「そんなことしてないよ」といいきっちゃうくらい、言葉にはなっていないくらいしかないんだろうけど、身体的には「裏切った自分」ってのを知っているのではないかと思ったのです。舞台版とは違うみたいですが、ラストの大暴れシーン。ここで杉山に対してではなくて、まして他の人にではなくて、家の中の物にあたって、具体的な攻撃対象が明らかにならないままの叫びでしめられてる。この辺りが先日見た舞台「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(についてのテキストはこちら )と(私の中では)リンクします。

裏切り行為やそれに対する反応が非常に「身体的」(感覚的、ってのともちょっと違うのです。超無意識というか、まさに「ま、いっか」)であったことが非常に興味深く、またちょっと怖かったです。裏切りの理由が(「ま、いっか」なんだけども)決して理不尽ではなくて、この立場でこういわれたらこうしちゃうかも、てな部分が残されているし。確かにテーマにかかれているようにそれが「本質」であるような気がするので。

俳優さんもそれぞれよかったですよねぇ。もう最後のボコり加減、暴れ加減。リカコの振り払いっぷりも。大根さんの日記にも書いてあったけど、森田さんが暴れ始めてから最後までのナンバーガールの入り方と切れ方がなんともかっちょよかった。

いやー、しかし燃えたわぁ、この5週。始まる時間を待って、テレビの前で録画しながらふがふが見てたのなんて木更津キャッツアイ以来かもなぁ(あ、マンハッタンがあったか)。楽しませていただきました。